米拠点で韓国に基盤をもつプロジェクトのフィデリウム(Fidelium)は昨年11月、大手デビットカード会社と契約を締結した。このデビットカードがあれば、仮想通貨の保有者は、世界中のどこでも仮想通貨による支払いができ、ATMで現金が引き出だせる。

 プロジェクトチームはコインテレグラフ に対し、デビットカードはフィデリウムのマルチウォレット・アプリと統合する計画があると明らかにした。これにより、ユーザーは世界中の仮想通貨取引所にアクセス可能となるという。

オールマイティなデビットカード

 オンラインの仮想通貨取引所がトレーダーにデビットカードを発行するのは、通常の手続きではない。フィデリウムは仮想通貨取引所ではないが、取引所間クロス取引プラットフォームのフォートレス(Fortress)を運営している。フォートレスのユーザーは、本人認証をした後、提携するどの仮想通貨取引所にもアクセスできる。

 このほか、フィデリウムは、マルチウォレット・アプリを開発中だ。フィデリウムトークン(FDI)、ビットコイン、イーサリアム、ライトコインに加え、その他複数の仮想通貨をサポートする予定となっている。

 スマートフォンにアプリをダウロードすれば、ユーザーはフィデリウムのプリペイド式デビットカードに申し込み可能だ。このデビットカードを使ってATMで現金を引き出したり、店舗で買い物したりできる。カードの保有者は、サポートされているコインの中から、支払いに使用するコインの選択が可能だ。フィデリウムは「決済業者との提携により、世界中のどこでも、特別な制約や待ち時間なしで、迅速で便利な仮想通貨の決済を実現していきます」とウェブサイトで書いている。

フォートレスの開発

 2017年11月、同プロジェクトは、取引所間クロス取引プラットフォームの「フォートレス」の開発に着手した。ホワイトペーパーによると、最初に解決したい問題は、リクイディティの低さから生じる価格差だ。地域間の価格差は、1万ドルを割った17年後半以降のビットコインで特に顕著だ。「ある時点のビットコインの価格は、米国では1万5000ドル、韓国では2000万ウォン(約1万8500ドル)だった。3500ドル、つまり、23%も価格差がある」。

 最大の問題はトレーダーが取引所を簡単に切り替えられないことにある。本人確認書類の写真をアップロードしたり、住所の証明書を提出したり、携帯電話番号やメールアドレスの認証をしたりと、手間がかかる。このような状況を改善するため、フォートレス・オンライン取引システムは、単一プラットフォーム上で、複数の取引所へのアクセスを提供する。ユーザーは取引所間の仮想通貨の価格差を比較し、どの取引所が最良の価格かを知ることができる。

今後の機能追加

 プロジェクトのチームはコインテレグラフに対し、プラットフォームの今後の開発についても明らかにした。「プロ向けのフォートレスを開発する。プレミアム版だ。取引の判断を助けるテクニカル指標など、詳細なチャートのオプション機能と豊富な情報を提供したい」。

 このほか、トレーディング・アルゴリズムに基づいた自動取引も採用する計画だ。詳細情報はこれからの発表になる。また、仮想通貨に加え、同プラットフォームでは、株式、オプション、先物取引もできるようにする予定という。フィデリウムは、19年中にもアジア、欧州の取引所をフォートレスでサポートする計画だ。

 1月12日、フィデリウムはトークンの先行販売を実施し、2月28日には、メインのクラウド・ファンディングを開始した。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)は3月11日に終了したが、バウンティプログラムは記事コンテンツやユーチューブで現在も実施中だ。バウンティプログラムの参加者には報酬として、FIDトークンが与えられる。
 

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