2022年の暗号資産の詐欺による被害額は、主に暗号資産価格の下落によりほぼ半分にまで減少したものの、その影響を受けずに済んだ2種類の詐欺がある。
とりわけ投資詐欺、NFT詐欺、出会い系サイト絡みのロマンス詐欺などの暗号資産詐欺の22年の被害額は21年から46%減り、59億ドルとなった。
このデータはチェイナリシスが2月16日に発表した報告書によるもので、詐欺被害額減少の最大の要因は暗号資産市場の低迷にあるとしている。というのも、一般的に暗号資産の価格が下がれば、詐欺のパフォーマンスも低下するからである。
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しかし、ロマンス詐欺と景品詐欺の2種類の詐欺は、暗号資産価格下落の影響を比較的受けずに済んだとチェイナリシスは指摘し、以下のように説明している。
「22年の1年間の詐欺による被害額は、ビットコインの価格とほぼ完全に連動しており、値動きと詐欺被害額の変化の間には常に3週間のラグが保たれている。しかしながら、代表的な詐欺のすべてがこのパターンに当てはまるわけではなく、中には暗号資産価格が低下すると被害が増大する詐欺もある」という。
「例えば、ロマンス詐欺と景品詐欺は他の種類の詐欺とは異なり、ビットコインの価格が上昇すれば、被害額も増大するというような相関関係を示していない」。
ロマンス詐欺は、カテゴリー別での全体的な被害額は少なめであるものの、22年の1人当たりの平均被害額は16,000ドル弱と最も高く、第2位の詐欺よりも3倍近く多くなっている。
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通常ロマンス詐欺は、詐欺師が被害者と関係を築き、助けてほしいと相手を説得するのが手口である。
チェイナリシスは、この種の詐欺は、被害者の儲け心よりも同情心に訴えかけるため、暗号資産の価格が下がっているときに最も多発する可能性が高いとし、次のように述べている。
「被害者の主な目的は一攫千金ではなく、恋愛相手となるかもしれないと思われる人を助けることにあります。この種の感情につけこんだ手口は、おそらくより広範な市場の動向とは関係なく、他の詐欺と同様の効果を発揮するのだろう」