仮想通貨の弱気相場を受けてベンチャーキャピタル投資が減少している中、その一方で、助成金などの代替的な資金調達手段が注目を集め、既存プロジェクトの成長を支える手段として活用されている。
Blockchain Grantsによれば、現在少なくとも40の仮想通貨プロジェクトがWeb3ソリューションに取り組む開発者向けの助成金を提供している。一方コインテレグラフ・リサーチのデータによれば、市場低迷は仮想通貨ベンチャーキャピタルに空白が生じ、過去12カ月間でWeb3プロジェクトへの資金投入が30%減少した。
助成金とベンチャーキャピタルは、目的と条件が異なる2つの異なる資金調達メカニズムだ。助成金は特定の目標や価値観に沿ったプロジェクトを支援するためによく用いられ、ベンチャーキャピタルは高い成長性を持つスタートアップを探し、金融的なリターンに焦点を当てる。

しかし、カンバーランド・ラボのナヴィーン・アグニホトリCEOは、助成金を受け取ることは、プロジェクトに資金が再投資された場合にのみ有益であるとコインテレグラフに語った。
「助成金は新興の仮想通貨プロジェクトに特に有用だが、資金が作業に再投資される場合に限る」とアグニホトリ氏は指摘し、その一方でベンチャーキャピタルは「創設者が自分のプロジェクトを立ち上げるのに有用だ」と付け加えた。
助成金の公募
助成金を受け取ったプロジェクトを責任を持って支援し、イノベーションを促進する目的で、シンギュラリティNETチームはディープファンディング助成金プログラムを公表した。第3ラウンドの開始に続き、プログラムは今後、達成したマイルストーンと成果物、そしてピアツーピアのレビューに基づいてチームに報酬を提供する。プログラムは9月3日まで5つの資金プールに対する提案を受け付け、今後数ヶ月間でAI関連プロジェクトに150万ドル以上を配分する予定だ。
「助成金プログラムは、仮想通貨業界の次の発展とイノベーションの段階を形成する上で重要な役割を果たす。これらのプログラムは、財政的な支援と斬新なアイデアのプラットフォームを提供することで、創造性、研究、先駆的なソリューションの創出を推進する」と、ディープファンディングのオペレーションマネージャーであるラファエル・プレサ氏は語った。このプログラムは2022年に開始され、これまでに28のAIプロジェクトを支援しており、助成金はシンギュラリティNETエコシステム内での分散型投票を通じて配分されている。
また、インターレジャー・ファンデーションも助成金プログラムを利用して、世界中の銀行口座を持たないコミュニティ向けの決済ネットワークを推進するイニシアチブを後押ししている。「助成金プログラムは、起業家やイノベーターが直面する財政的な圧力を軽減することができる。資源が不足してアイデアを完成させることができず、素晴らしいプロジェクトが放棄され、世に出ることがないケースがあった」と、ンターレジャー・ファンデーションのブリアナ・マーブリーCEOは述べた。同プログラムは11月21日まで申請を受け付けており、今回のラウンドで10万ドル以上の助成金を授与する予定だ。
助成金の申請
助成金を申請する際には、助成金提供者の目標と優先事項を理解することが重要だ。プレサ氏によれば、これはプログラムの核心的な目標を真剣に理解し、関心を持っていることを示す。「コミュニティとの関与、フィードバックの求め、それに応じた提案の改良は、その質を向上させるだけでなく、協力と改善へのコミットメントを示す」と彼は語った。
アグニホトリ氏によれば、プロジェクトは提案を位置づける際に、実際の問題の解決に焦点を当てるべきだ。「今、私たちは弱気相場にあるので、問題について真剣に考え、それに続く大きなアイデアについて考えるのが良い時期だと思う。孤立した場所に自分を置き、ただただ考え尽くし、それから重要なアイデアが浮かんだら、助成金の提案をしっかりと書き出す時間をしっかりと取るべきだ」と彼は提案し、弱気相場はプロジェクトに実際の問題を解決するための時間を与えると付け加えた。
「これらの時期にはお金が豊富にあるわけではないかもしれないが、お金はまだ存在し、そのお金は良いアイデアに引きつけられていく」とアグニホトリ氏は語った。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン