今年1月末に巨額のネム(NEM)が不正流出した仮想通貨取引所のコインチェックは8日、事件の原因や今後の対応についてプレスリリースを発表した。当時ネムを保有していた26万人に対する補償については「来週中を目途に実施する」と話した。日本円で返金する見込みだ。

 1月26日に5億2630万10XEM(ネムの通貨単位)が流出した。情報セキュリティ企業5社の外部専門家に調査を依頼するなどした結果、外部の攻撃者がコインチェック従業員の端末にマルウェアを感染させ、コインチェックのネットワークに不正にアクセスし、ネムの秘密鍵を窃取した上で、外部の通信先にNEMを不正送金した可能性が高いことが判明した。 マルウェアの感染経路は、コインチェックの複数の従業員に届いたメールだった。

 コインチェックはまた、8日に金融庁から2度目となる業務改善命令を受け、管理体制の不備などを指摘された。同日に開いた記者会見では、仮想通貨市場の急拡大に、人員が不足したため管理が後手になったとの認識を示した。

 今後のセキュリティ体制に関しては、端末のセキュリティを強化、金融機関出身者をセキュリティ責任者に置くほか、社内にシステムリスク委員会を設置するなどして体制と整える説明した。技術的な安全の確認が完了した仮想通貨から、来週にもサービスを再開する計画だ。