仮想通貨取引所コインベースが、米国の金融規制当局に対してトークン化株式の取引提供に関する承認を求めていると報じられている。
ロイターの17日の報道よると、コインベースの最高法務責任者ポール・グレワル氏は、トークン化株式を提供するために米証券取引委員会(SEC)の承認を目指していると述べた。この取り組みはロビンフッドなどの競合プラットフォームを意識したものとみられ、グレワル氏によれば、「極めて優先順位が高い」ものだという。
2025年6月時点では、株式などの資産のトークン化は米国市場では取引が認められていない。ただし、米国に拠点を置くデジタル資産企業は、海外居住者向けに同様のサービスを提供する事例が存在する。たとえば、仮想通貨取引所クラーケンは、5月に米国株のトークン化取引を開始する計画を発表している。
トランプ政権が今年1月に発足して以降、コインベースを含む米国の仮想通貨関連企業は、これまでよりも政治的・規制的に好意的な環境下にある。2月には、SECが2023年にコインベースに対して提起していた訴訟を取り下げている。
SECがトークン化株式提供に関するコインベースの計画を承認する場合、「執行措置を取らない」旨を示す「ノーアクションレター」を発行する可能性が高い。ただし、グレワル氏はSECに対してすでに正式な申請がなされているかどうかについては明言していないという。
グローバル展開と課題
この報道は、コインベースが欧州連合(EU)の暗号資産市場規制(MiCA)に基づく営業ライセンスの取得を目前に控えているタイミングで出た。
一方で同社は、米国外のサポート担当者がサイバー犯罪者に買収され、ユーザーデータを不正に流出させた事件にも直面している。これにより、多数のフィッシング詐欺が発生した。
コインベースの株式(COIN)は、記事執筆時点で252.20ドルで取引されており、過去24時間で約3.6%下落している。なお、同社は2025年5月にS&P500指数に採用されており、米国の仮想通貨企業として初の快挙となった。