仮想通貨ビットコインの弱気相場が続く中、米仮想通貨取引所最大手のコインベース(Coinbase)優先株式と普通株式の2ラウンドを通し約558億円(5億ドル)を調達する予定であることがわかった。米CNBCの人気仮想通貨番組が独占スクープとして伝えた

CNBCがコインベースに近い人物による情報として伝えたところによると、コインベースが近々計画しているIPOにおける企業価値の評価額は8038~8935億円(73~80億ドル)だという。2012年6月の創設から6年で急成長した形だ。

これを高いとみるか、安いとみるか。

CNBCは2012年にコインベースに約11億円投資したAdam Draper氏に取材。同氏はコインベースの80億ドルという評価額について「過小評価」とし、「(IPOにおける出口戦略としての)売り需要はあるだろうが、私は(IPO時でも)更に買いたいと思う。コインベースは地球で一番大きな会社になると本当に信じている。時価総額1兆ドルを超える最初の10社のうちの1社だ」と断言した。

コインベースはこれまで約220億円を複数の投資家から調達している。日本のドコモや三菱UFJフィナンシャル・グループ等の日本企業や、ニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchange(ICE)も株主に名を連ねる。

(Adam Draper氏は著名ベンチャー投資家Tim Draper氏の息子。スカイプ、ツイッター、テスラ等米IT大手への投資で有名なドレイパー氏は2014年、闇ドラッグサイトである「シルクロード」が摘発された際の政府主催オークションで3万ビットコイン(約23億円分)を取得。その後のビットコイン価格の値上がりで、10倍以上になったといわれる。参考記事:コインテレグラフ独占取材「米著名投資家 ティム・ドレイパー氏インタビュー 政府の規制、仮想通貨の未来を語る」)

コインベースに出資した投資家Adam氏

Draper氏は「(コインベースは)全ての人をP2Pの金融システムに載せようとしている。現在存在し得る最大のビッグアイディア(大きな考え方)だ。世界の仕組みを根本的に変えるだろう。そしてコインベースはそういう未来の(市場の)大部分を勝ち取る努力をしている」と強気の見方を示した。

強気になれる根拠は、圧倒的な米国市場マーケットシェア(市場占有率)だ。

さらにCNBCによると、コインベースは現在米国市場において、法定通貨対仮想通貨の取引所としては80%、仮想通貨対仮想通貨では75%のシェアを誇るという。

口座数は2500万件で、うち700万口座に法定通貨か仮想通貨の残高がある。また、うち60万口座が毎月なんらかの取引が行われているアクティブ(活発)な口座だという。

気になる売上も堅調で、2018年第三四半期(7~9月)は約100億円。これまでの最高は2017年第四四半期で502億円だった。

コインベースが上場すればコンプライアンスや内部統制についてもさらに注視されることになる。これを契機に仮想通貨ビジネスが規範化され、一般に認められる流れもくるかもしれない。

さらに調達した資金や信用力を元手に、アジア進出も加速するかもしれない。

実際、コインベースのチーフ・ポリシー・オフィサー(CPO)であるマイク・レンプレス氏は先月、日本で仮想通貨交換業のライセンスを取得することについて「2019年中には間違えなく取得できる」とコメントしている。同氏は「日本政府はセキュリティに焦点を当てている」と指摘し「(セキュリティに力を入れる)コインベース に有利に働く」としていた。

一方、足元では日米とも株式市場の下落が続いており、IPOがキャンセルになったり延期されるケースもあるので注意が必要だ。

ちなみに現在日本では、ビットポイントを運営するリミックスポイントや、コインチェックを買収したマネックスの株式を買うことが可能だ。

コインベースCEOのアームストロング氏

コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏は弱冠35才だ。

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