コインベースは、米国大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した後、仮想通貨価格と取引高が急増したことを受け、第4四半期に過去1年以上で最も好調な業績を記録した。
2月13日に発表されたコインベースの財務報告によると、総収益は前四半期比88%増の23億ドルに達し、純利益は13億ドルだった。いずれもアナリスト予想を大幅に上回った。
取引高は4390億ドルに達し、市場予想の4040億ドルを上回った。
消費者向け取引収益は前四半期比178%増の13億5000万ドルとなり、機関投資家向け収益も155%増の1億4130万ドルとなった。この四半期は、米国大統領選におけるトランプ氏の勝利と市場価格の上昇が業績の追い風となった。
「年間の取引高の増加の大部分は、特に第1四半期と第4四半期における仮想通貨のボラティリティの上昇、および仮想通貨の平均価格の上昇によるものである」と、コインベースは株主向けのレターで述べた。
また、コインベースはステーブルコイン収益として2億2590万ドル、ブロックチェーン報酬収益として2億1490万ドルを計上した。特に後者は前四半期比38.8%増となった。
コインベースの株価は2月13日の取引で8.44%上昇し、298.1ドルまで上昇した。しかし、時間外取引ではやや変動し、現在は0.88%下落の295.01ドルとなっている。
コインベースの業績 Source: Coinbase
選挙後の取引高増加
仮想通貨リサーチ企業コイン・メトリックスは、コインベースの収益が前年比100%以上増加すると予測しており、2024年第4四半期の取引高増加がその要因であるとしている。
「この取引活動の増加は、米国大統領選後の市場の楽観的な見方によって促進された」とコイン・メトリックスは指摘した。トランプ氏は、米国を「世界の仮想通貨の中心地」にすることを約束し、主要機関のトップに仮想通貨業界寄りのリーダーを指名している。
一方。リサーチ企業カイコは、取引高の大部分が機関投資家によるものであり、コインベースは個人投資家の取引低迷に直面していると指摘している。
「個人トレーダー(最も高い手数料を支払う層)は、依然として市場に本格復帰しておらず、その取引シェアは18%まで縮小している。これは2021年の40%から大幅な減少である」とカイコは述べた。
サブスクリプションの成長
2024年、コインベースはサブスクリプションとサービスの収益を大幅に拡大したが、依然として「取引プラットフォームが主軸」であり、取引関連の収益が50%以上を占めているとカイコは指摘している。
一方、アナリストはコインベースの新たな収益源となるサブスクリプションとサービス事業の成長を期待している。
第4四半期において、コインベース上の米ドル連動ステーブルコインUSDコイン(USDC)の供給量は約23%増加し、同社のステーブルコイン収益に追い風となったとコイン・メトリックスは指摘した。
しかし、コインベースのイーサリアムステーキングプラットフォームは、ETHステーキング全体の減少の影響を受けており、第4四半期には約130万ETHの純流出が発生したとカイコは指摘した。
長期的には、トランプ政権下の友好的な規制環境がコインベースのイーサリアムステーキング事業に恩恵をもたらす可能性があるとも述べている。
また、コインベースは国際展開を加速させる意向も示している。米国拠点の仮想通貨取引所である同社は、2023年に事業を停止したインド市場への再参入を視野に、インド当局と協議中と報じられている。