仮想通貨取引所コインベースとステーブルコイン関連スタートアップBVNKが、総額20億ドル規模の買収契約を撤回したことが明らかになった。実現すれば暗号資産業界での大型M&Aとなる予定だった。

フォーチュンの11月11日の報道によると、この撤回は両社の合意による決定であり、なぜ契約が中止されたのかは明らかにされていない。コインベースとBVNKは、10月に排他交渉契約を締結し、デューデリジェンスの段階まで進んでいた。

コインベースの広報担当者はフォーチュンに対し、「BVNKの買収について協議を行った結果、双方で前進しないことを決めた」と述べた上で、「今後も他の機会を模索していく」とコメントした。

この買収が成立していれば、コインベースにとっては8月に29億ドルで完了した仮想通貨デリバティブ取引所デリビットの買収に次ぐ規模となるはずだった。

今回の買収計画は、ウォール街がステーブルコインへの関心を急速に高める中で進められていた。ウェスタンユニオン、マネーグラム、SWIFTなどがステーブルコイン決済の導入を進めており、市場は急拡大している。

現在、ステーブルコイン市場の時価総額は3120億ドルに達しており、米国では7月にステーブルコイン規制法であるGENIUS法が成立。米財務省は4月に「2028年までに市場規模が2兆ドルに拡大する可能性がある」と予測している

BVNK買収で安定収益の拡大を狙うも…

BVNKの買収は、コインベースのステーブルコイン関連収益を押し上げる狙いがあった。

同社は第3四半期の収益19億ドルのうち、2億4600万ドル(約19%)をステーブルコインサービスから得ていた

一方で、今回の買収撤回により、コインベースは別のステーブルコイン分野での投資機会を模索する余地が生まれたともみられている。

BVNKは成長戦略を再び模索

BVNKはコインベースとの交渉破談を受け、再び次の成長戦略を模索することになる。同社は10月にもマスターカードによる買収交渉を行っていたが、こちらも実現しなかった。

また、BVNKにはシティ・ベンチャーズやVisaが5月に出資している

BVNKは2021年10月に設立された英国拠点のフィンテック企業で、創業者はジェシー・ヘムソン=ストラザーズCEO、ドナルド・ジャクソンCTO、クリス・ハームスCBOの3名。同社は現在、年間取扱高200億ドル超を処理していると公表している。

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