ステーブルコイン発行企業サークル・インターネット・グループの株価が11日に10.7%上昇して取引を終えた。これは、同社がブラジルのフィンテック企業マテラと提携し、多通貨対応の銀行送金を支援すると発表したことに加え、同社のステーブルコインUSDCがOpenAIのサム・アルトマン氏が率いるワールドチェーンで利用可能になったことが背景にある。

ワールド(旧ワールドコイン)は11日、約200万人のユーザーがブリッジ版USDC(他のブロックチェーンから移動してきたUSDC)を保有しており、現在はサークルが直接発行するネイティブUSDCにアップグレードされたと発表した

サークルのクロスチェーン・トランスファー・プロトコル(CCTP)がワールドのユーザーも使えるようになり、2700万人のユーザーがブロックチェーン間でUSDCを即時に移動できるようになった。

ワールドは、ネットワーク上でUSDCが送金や「ミニアプリ」内の支払い、Eコマースなどに利用されていると述べた。

ブラジルのマテラと提携

一方、ブラジルのフィンテック企業マテラは、国内銀行が多通貨アカウントに対応できるようにするため、サークルと提携したと明かした。

マテラは、自社のリアルタイム台帳デジタル・ツインを用い、銀行などの金融機関がサークルのUSDCを直接保有し、ブラジルレアル、米ドル、USDCを一体的に扱えるようにする。これにより、金融機関はゼロから複雑なインフラを構築する必要がなくなるという。

さらに、このソリューションはブラジル中央銀行の即時決済システムPixなど、現地の決済網とも接続され、USDCを用いた送金や決済が可能になる。

マテラのカルロス・ネットCEOは「ステーブルコインと現地通貨のアカウント間の相互運用性は、もはやサイドプロジェクトではない。いまや金融システムの中心にある」と述べ、「これは、即時決済と低コストを武器にグローバル展開を目指す銀行やフィンテック企業にとってのゲームチェンジャーだ」と強調した。

サークル株が上場後280%上昇

サークルの株価(CRCL)は、これら2件の発表を受けて11日の取引終了時に10.7%上昇し、時間外では0.2%下落して117ドル弱となった。

Circle’s shares saw double-digit gains on Wednesday amid USDC’s rollout on World. Source: Yahoo Finance

サークルは6月5日に米国で新規株式公開(IPO)を行っており、上場初日の31ドルから株価はおよそ280%上昇している。

ワールドは米国6都市で展開開始

ワールドは、サンフランシスコとベルリンに拠点を置くツールズ・フォー・ヒューマニティによって2019年に設立されたが、米国での正式ローンチは2025年4月末だった。現在はアトランタ、オースティン、ロサンゼルス、マイアミ、ナッシュビル、サンフランシスコの6都市で展開されている。

ワールドチェーンのユーザーは、球体状のスキャナ「オーブ」で顔や虹彩をスキャンすることで本人確認を行い、ワールドコイン(WLD)を報酬として受け取っている。

当初、トークン提供に関する規制上の懸念から、米国でのローンチは見送られていたが、仮想通貨に寛容なトランプ政権のもとで状況が変わったとみられる。

一方で、米国外の複数の規制当局は、同プロジェクトのプライバシー懸念を調査しており、スペインやポルトガルなど一部の国では、ワールドのデータ収集手法を理由にサービス提供が停止されている。

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