スポーツ領域に特化したWeb3企業であるチリーズ(Chiliz)は、仮想通貨に前向きなホワイトハウスの姿勢と規制明確化を背景に、米国の仮想通貨市場への再参入を目指して米証券取引委員会(SEC)と協議を行った。
SECとの協議は4月22日に行われた。同日にはチリーズのアレクサンドル・ドレイファスCEOが、トランプ政権の仮想通貨諮問委員会の事務局長であるボー・ハインズ氏との記念写真をXに投稿しており、ホワイトハウス関係者との会談も示唆された。
提出された文書によると、チリーズはファントークンの設計と、それが「証券に該当すべきでない理由」についてSECと議論した。一般的に証券とは、他者の努力によって利益を得るという投資形態であるとされている。
仮想通貨および関連資産が証券に該当するか否かは、米国におけるWeb3規制の核心的論点の1つとなっている。
チリーズエコシステムのTVLは2025年に縮小
複数のサッカークラブ、eスポーツチームなどと提携してきたチリーズであるが、そのエコシステム内での活動量は減少している。DefiLlamaのデータによれば、同社プロトコルの総ロック価値(TVL)は2024年12月9日の1780万ドルから、2025年4月22日には650万ドルへと、63.5%も落ち込んだ。
また、ガバナンストークンであるチリーズ(CHZ)トークンの価格も好調とは言えない。コインマーケットキャップによると、CHZの価格は過去12カ月で67%下落している。
チリーズは、ファンが自身の応援するスポーツクラブの公式仮想通貨を保有できる「ファントークン」を中心としたサービスで知られており、これまでにFCバルセロナ、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティなどとの提携実績がある。
文書によれば、チリーズは2021年に米国市場で8000万ドルのパートナーシップ投資を行っていた。しかし、その後の規制不透明感やFTXの破綻による影響を受け、翌年には「戦略的撤退」を選択している。
なお、次回のFIFAワールドカップは2026年6月に開催予定で、米国が主要開催国を務め、カナダとメキシコが共催国として参加する見通しだ