ブロックチェーン企業ソラミツの宮沢和正社長は24日、カンボジアで2019年7月から本番運用が始まっている中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」の利用率がドルを超えていると明らかにした。金融庁と日経新聞が主催するブロックチェーンイベント「FINSUM」の中で語った。

ソラミツは同社のブロックチェーン「ハイパーレジャーいろは」を活用してカンボジア国立銀行とともにCBDCを発行している。

カンボジアでは同国の法定通貨リエルよりも米ドルの利用が多い。宮沢氏によると、通常ではドルが7~8割利用されているという。しかし現在数万人規模となっているバコンの利用者では逆転し、リエルが6割、ドルが4割となっているという。

この理由について、通貨価値の低いリエルでは、持ち運びに非常にかさばっていたことが解消されたことや、銀行口座を持たない農村部などで送金に使われていることがドルよりも利用率が高い理由ではないかと予想した。宮沢氏はこうした結果を受けて、カンボジア中銀が狙うリエルの増加に方向性として合致しているとして以下のように話した。

「金融のコントロールをしていく、ということの目的は達成している」

また、カンボジアにある大手銀行24行の中で14行がすでにバコンのプロジェクトに加盟。こうした銀行の加盟店手数料や送金手数料が無料となっていることを強調した。バコンではコストが従来の50分の1に抑えられているという。デジタル化によって、紙幣の印刷や郵送などが必要なくなっていることで、手数料が無料にできるという利点を強調した。

こうしたお金の発行や郵送にかかるコストは日本では数兆円かかっているとの試算もあり、コスト削減はデジタル化による大きな利点だとした。

「デジタル通貨は3つに分かれる」

宮沢社長は今後のデジタル通貨の動きについて、将来「3つに分かれると考えている」と話した。一つがCBDC、2番目が民間金融機関のデジタル通貨、3番目が地域のデジタル通貨になるという。

カンボジアではこの3つを全て一緒にしているが、日本では用途に分かれて民間のデジタルマネーと国のお金と共存するという世界になると予想した。

また地域のデジタル通貨はスマートシティや地産地消などで大きな需要があり、使われていくだろうとした。ソラミツは実際に会津若松大学でデジタル地域通貨「白虎」の正式運用を始めている。こうした実績から10以上の自治体から同様の相談が来ているという。