米国下院は5月23日、「中央銀行デジタル通貨(CBDC)反監視国家法(H.R.5403)」を可決した。今後、上院での投票を控えている。この法案は、1913年の連邦準備法を改正して連邦準備銀行が「特定の製品やサービスを個人に直接提供することを禁止し、中央銀行デジタル通貨を金融政策に使用することを禁止する」ものだ。
共和党が支持するこの法案の審議はほとんど出席者がいなかった。共和党は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の乱用の可能性について語った一方で、民主党は法案がイノベーションやドルの国際競争力を弱体化させるリスクを強調し、法案の内容が不十分であると批判した。
デジタル資産、金融技術および包括のための金融サービス委員会小委員会の委員長であるフレンチ・ヒル氏(共和党議員)は次のように述べた。
「私たちは政府が持つツールを乱用する可能性がある世界に住んでいる。」
同じく共和党議員のマイク・フラッド氏は「最も嫌いな政治家がCBDCをコントロールする様子を想像してほしい」と聴衆に促した。
金融サービス委員会のメンバーであるウォーレン・デイビッドソン氏は、ニューヨーク連邦準備銀行のプロジェクト・ハミルトンを「中国のデジタル元と同じ不気味な監視ツール」と呼んだ。彼はこのパイロットプロジェクトが「さらに発展する可能性がある」と述べた。連邦準備制度は対話に応じる必要があると彼は述べた。

この考えは法案の修正案を提出したアレクサンダー・ムーニー共和党議員も協調し、CBDCは「いつでも利用可能であってはならない」と述べた。
一方で民主党側は批判を繰り広げている。ブラッド・シャーマン民主党議員はこの法案を「言葉のサラダ」と呼び、「仮想通貨民」を優遇するものと非難。彼はまた、誰もがCBDCの使用を強制されるものではないと付け加えた。
共和党の議論がリテールCBDCに焦点を当てる一方で、金融サービス委員会の筆頭メンバーであるマキシン・ウォーターズ民主党議員は、この法案がホールセールCBDCも禁止するように解釈される可能性があると危惧。ウォーターズ議員は、この法案が「米ドルの世界的な優位性を損なうリスクがある」と指摘した。
ウォーターズ議員はまた、この法案が決済システムを運営するために必要な連邦準備銀行の銀行準備金の保有を禁止するように解釈される可能性があると述べた。
「この法案は、今日そして数十年間にわたって運営されてきた米国経済をブロックするものだ。」
ウォーターズ議員はまた、ユーザープライバシーを保証できるゼロ知識証明技術にも言及。ドルに連動したステーブルコインは急落時に価値を失う可能性があるが、CBDCはそうならないとも述べた。

CBDC反監視法案は、トム・エマー議員によって2023年2月に下院に提出された。216対192の票で可決された。