日本銀行は中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)を発行する際の法律的問題点に関する研究会の報告書の概要を公開した。
調査書の中で、日本銀行法の解釈から銀行券は「電子的なものを含むことは困難」とCBDCの発行は許容されないと判断。ただ一方で資金決済の円滑化を目的とするのが日本銀行であるという点を強調。この「資金決済の円滑化」は「信用秩序の維持」という目的のために、金融機関間に限定せずに、個人や企業間のものも含むと判断できる、と指摘。つまり銀行間の発行でなければCBDCの発行は日本銀行法に反しないという解釈もできるという。
ただし、現行法では法貨が紙幣や硬貨に限定されていることから、CBDCを通貨として運用することについては法改正が必要であるとした。
またデジタル上での通貨という観点から、偽造・複製されたデータを用いた決済は無効となるとしつつも、真贋が区別不可能な形で大量に複製された場合は「一旦は真正なものとして扱って決済を無効とせず処理したうえで、例えば複製者に対する損害賠償請求などにより対応する」という。
CBDCについてはフェイスブックの仮想通貨リブラの発表などもあり、国際的に関心が高まっている。中国のデジタル人民元やアフリカのガーナなどでデジタル通貨の発行が検討される中で、日銀の黒田総裁はデジタル円について否定姿勢を示しつつも「継続して調査する」という意向を示している。