破綻した仮想通貨取引所FTXの前最高経営責任者(CEO)であるサム・バンクマン=フリード氏(通称SBF)は、刑事裁判で元ビジネスパートナーであり恋人だったキャロライン・エリソン氏が証言する様子を被告席から見つめていた。

10月10日の裁判の傍聴者からの報道によると、エリソン氏はアラメダ・リサーチ在職中の詐欺を認めた。バンクマン=フリード氏の指示によるものだったとした。アラメダ・リサーチのCEOを勤めていたエリソン氏は、FTXのユーザー資金の不正使用はSBFに責任があると述べ、アラメダが取引所から約140億ドルを巻き上げるに至った「システムをセットアップした」と主張したという。

「アラメダはFTXの顧客から数十億ドルを受け取り、投資に使っていた。私はアラメダが実際よりもリスクが低く見えるようなバランスシートを送った。」

エリソン氏はジェーン・ストリート・キャピタルでの仕事を通じてバンクマン=フリード氏と知り合った。SBFは彼女に投資会社を辞めて仮想通貨に注力する活動に参加するよう説得したという。2022年11月のFTXの破綻後、2人はほとんど連絡を取っていなかったと報道されている。

エリソン氏がアラメダでチームを率いている間、SBF氏がFTXの責任者であったことから、エリソンとSBFの関係は詐欺容疑に関する中心的な問題の一つだ。SBF氏の詐欺容疑は、アラメダに指示して顧客の同意なしにFTXのユーザー資金にアクセスさせ、その資金を不動産購入や政治運動への寄付などに使ったとされている。

FTXの共同創業者で元最高技術責任者のゲーリー・ワン氏は、検察側の最初の証人の一人として10月5日から証言台に立ち、エリソン氏と元エンジニアリング・ディレクターのニシャド・シン氏と共に犯罪を犯したと証言した。ワン氏の証言中、SBFの弁護士は、取引所の崩壊に関する一部の責任をエリソン氏に押し付けるかのように、彼女の役割についてワン氏に質問した。冒頭弁論で弁護側は、彼女がSBFからのアラメダの投資へのヘッジ要請を無視したと主張した。

エリソン氏とワン氏は、米国当局との取引の一環として最初にFTXとアラメダの内部関係者として有罪を認めた。バンクマン=フリード氏が自身の防衛戦略として証言台に立つかどうかは不明だ。

SBFは7つの詐欺関連の告発に直面している。彼はすべての告発に対して無罪を主張し、2024年3月に2度目の刑事裁判で出廷する予定だ。