イーサリアムクラシックのハードフォークおさらい

 米国の大手仮想通貨取引所コインベースは12日、公式ブログでイーサリアムクラシックの取り扱いを開始すると発表した。コインマーケットキャップによると、価格は過去24時間でおよそ25%上昇し、現在は約1785円で取引されている。今回はイーサリアムクラシックのハードフォークをおさらいする。

イーサリアムクラシックとは

 時価総額で第18位のイーサリアムクラシック(ETC)は、「The DAO事件」をきっかけにイーサリアム(ETH)から2016年7月20日にハードフォークした仮想通貨だ。The DAO事件とは、イーサリアムを利用した非中央集権的投資ファンドプロジェクトであるThe DAOの、スマートコントラクトコードの脆弱性を突いてイーサリアムが不正送金された事件で、被害額は約360万ETH(当時の価値で約65億円)に上った。

 イーサリアムの開発者らは、この不正送金取引を無効化するため、コミュニティから90%以上の賛成を得てハードフォークを実施する決定をした。この取引の巻き戻し措置に反対して新しく出来た仮想通貨が、イーサリアムクラシックだ。

 イーサリアムクラシックは、取引の無効化は中央による介入であるとして反発。非中央集権的なコミュニティ形成を実践するため、イーサリアムから分岐した。システム自体に問題がある場合や、アップデートする場合を除いては、ハードフォークを行わないことで徹底している。

3月のハードフォーク、カリストの付与

 イーサリアムクラシックは今年3月、550万番目のブロックでハードフォークを実施した。それにより新たな仮想通貨カリスト(Callisto 、 CLO)が誕生。イーサリアムクラシックを保有していた人を対象に、1:1の割合でカリストがエアドロップにより配布された。

 カリストの目的は、スケーラビリティ問題の解決、実験段階プロトコルをテストするためと言われている。セキュリティ強化型、自立分散型なブロックチェーンシステムの構築を目指している。カリストのブロックチェーン上のトークンを利用することにより、スマートコントラクトのセキュリティを向上させることが可能となる。

カリストの主な特徴は以下の3つ。

  • コールド・ステーキング・プロトコル(Cold staking protocol)の導入により、カリストを1カ月以上保有していると、一定の金銭的なインセンティブが付与される。
  • サイドチェーンとして、ETCとCLOで両方のブロックチェーンのスケーラビリティを向上できる 。
  • カリストのスマートコントラクトを使用すると、ETCのブロックチェーンの帯域の幅がシンプルになる。

5月に実施された最新のハードフォーク

 最新のハードフォークは、今年5月30日に590万番目のブロックで実施された。目的はディフィカルティボム(難易度調整)機能を除去するためで、ディフィカルティボムを除去しないままブロックが増え続けていくと、マイニングによって利益が得られなくなる問題を解決した。

 この「爆弾(ボム)」はイーサリアム(ETH)の元々のコードの構成要素であり、マイニングの難易度を指数関数的に増やすことで、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行の必要性を引き出すために設計されたものだ。

 イーサリアムは将来的にPoSに切り替えるが、イーサリアムクラシックはPoWを採用し続ける。理由は、The DAO事件からの「非中央集権的なプラットフォーム」を重視しているからであり、現状PoWが最も非中央集権的なコンセンサスアルゴリズムだとコミュニティは考えている。

 また、前回のハードフォークとは異なり、ディフィカルティボム機能の除去を目的としたものであるため、新しいコインの発行や、エアドロップ による配布は行われなかった。今回のハードフォークによってボムを取り除くと、ブロック生成にかかる時間がおよそ26秒から14秒に短縮されるという。

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