世界最大のインターディーラーブローカー(IDB、金融商品ディーラー間の仲介専門業者)TP ICAPが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が提供する仮想通貨ビットコイン(BTC)のデリバティブを販売すると発表した。ロンドンを皮切りに、アメリカとアジアでも取引デスクを開設予定という。ブルームバーグが6月17日に報じた

既報の通り、6月にはシカゴ・オプション取引所(CBOE)のBTC先物契約は期限切れとなり、CMEがBTC先物の唯一の提供者となっている。

TP ICAPは、現物の受渡しではなく、売買差額の授受で決済を行うノン・デリバラブル・フォワード(NDF、差金決済)の追加を検討しているという。またロンドンをはじめ、アメリカとアジアでも取引デスクを開設予定と明かした。

ブルームバーグは、TP ICAPは同社コアビジネスの縮小により今回の決定を下したと指摘した。

「IDBは、従来銀行取引の取り扱いに頼ってきたが、金融危機の影響で取引高が減少した。2018年の利益報告では、TP ICAPの1日あたりの時価評価額は36%減少した。現在は約10%回復し、16億ポンド(約2172億円)となった」

またブルームバーグによると、TP ICAPの顧客が同社サービスを通じてBTC先物の売買を行うには、KYC(顧客確認)およびAML(マネーロンダリング対策)規制に従う必要があるという。さらにTP ICAPは、他の仮想通貨、不動産・株式といった現実世界の資産をトークン化した資産も検討しているそうだ。

ブルームバーグは、TP ICAPデジタル資産市場部門のトップ、ダンカン・トレンホルム氏のコメントを引用し、同社の仮想通貨業界に対する関心の高さを示している。

「成長する市場の初期段階に投資することが重要だと考えており、この新しい資産クラスで起こっていることに近づきたい。TP ICAPは、仮想通貨に関連する技術によって、現在運用している他の資産クラスを混乱させたり、影響を与えたりする可能性を理解している」


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版