仮想通貨業界の企業が現在も銀行口座の開設に苦労している様子について、大手金融メディアのブルームバーグが3日に伝えた。

記事では、仮想通貨の定量的取引を行う会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)のサム・バンクマン=フリードCEOの「『地元のモルガン・チェースの支店へ行ってください』という標準的な回答は仮想通貨業界では通用しない」という不満が紹介されている。CEOは、銀行が仮想通貨企業にサービスを提供するのは違法でないにもかかわらず、「問題解決のためにリソースを投入したがらないのはコンプライアンス上の大きな悩みの種だ」とも述べた。

大手銀行が仮想通貨関連の企業へのサービスを避けているのに対し、小規模の銀行はサービスが行き渡っていない市場の当該部分を掌握しようとしている、ともブルームバーグは指摘している。記事の中では、サンディエゴのシルバーゲート・バンク(Silvergate Bank)がそのような銀行の1つとして紹介されている。同行は、昨年11月の新規株式公開の申請において、仮想通貨企業が400億ドルもの預金を抱えていると主張したという。

ブルームバーグによれば、ビットペイのサニー・シン最高商務責任者は、自社が多くの銀行からそっぽを向かれたと述べている(ビットペイでは米証券取引委員会の元委員長が顧問を務めるているのだが)。

ブルームバーグは、銀行との取引関係の確立に苦労している別の例として、ブロックチェーンの投資・取引・コンサルタントを行うNKBグループを挙げている。NKBの仲介業務責任者ベン・セブリー氏は以下のようにコメントしているという。

「基本的な銀行業務を拒否するのは馬鹿げた話で、分野の成長を阻害している。この問題を解決するため、企業は創造性を働かせなくてはならない。(中略)銀行は過度に慎重になっている」

仮想通貨関連企業が、銀行口座開設に苦労するのは米国だけの話ではない。

マルタでも銀行側が仮想通貨・ブロックチェーン企業の口座開設を拒否している事例が報じられた。現地の専門家からは「リスク回避」では説明できないとの声も出ている。