ブロックチェーン業界は、しばしば見過ごされがちな1つの指標で新たな成熟の兆しを見せており、分散型金融(DeFi)や消費者向けアプリ、新興分野などでの採用拡大を示している。

ベンチャーキャピタル企業1kxの新たな「オンチェーン収益レポート」によると、ユーザーが支払う手数料ベースで算出されるオンチェーン収益は、2025年に198億ドルに到達する見込みだ。今年上半期だけで過去最高の97億ドルを記録したという。

これらの手数料は、ブロックチェーンや関連インフラ上での直接取引にユーザーが支払った総額を指し、取引やスワップ、登録、ゲーム収益、サブスクリプションなどが含まれる。

2021年の過去最高額241億ドルには届かない見通しだが、2020年以降、オンチェーン手数料の総額は10倍以上に拡大しており、年平均成長率はおよそ60%に達している。

The value of onchain fees reached a record high in the first quarter of 2025, but full-year estimates suggest it will still fall short of the 2021 peak. Source: 1kx

「支払われた手数料は、ユーザーや企業が対価を支払うほどの再現可能なユーティリティを示す最良の指標だと考えている」と、レポートの執筆者であるラッセ・クラウゼン氏、クリストファー・ハイマン氏、ロバート・コシッヒ氏、クレア・ホー氏、ヨハネス・ゾイベルリヒ氏は述べている。

「プロトコルが成熟し、規制環境が整うにつれ、安定的な手数料収益を生み出し分配できる能力が、長期的に存続するネットワークと初期段階の実験的プロジェクトを分けることになる」としている。

手数料の増加は、単なる財務的健全性の指標にとどまらず、ブロックチェーン技術の採用拡大を示すものでもある。特に、現実世界資産(RWA)のトークン化、分散型物理インフラネットワーク(DePIN)、ウォレットベースの消費者向けアプリといった新興分野で顕著だ。

1kxのレポートは、この成長が構造的転換を示していると指摘している。仮想通貨は投機的な資産から、ネットワーク効果を持つ実収益型の正当な資産クラスへと進化しつつあるという。

トークン化資産の勢いが加速

レポートでは、ステーブルコインを除く現実世界資産(RWA)のオンチェーン価値が2025年第3四半期時点で280億ドルを突破し、その後350億ドルを超えたと指摘している(出典:RWA.xyz)。

1kxによると、オンチェーン上のトークン化資産の総額は過去1年で2倍以上に増加し、それらの資産から生じる手数料はさらに速いペースで拡大している。これはユーザー活動と市場採用の増加を示すものだ。

Research, Fees
The market for tokenized RWAs continues to surge. Source: 1kx

JPモルガン、ブラックロック、BNYメロンといったウォール街の大手金融機関も、資産トークン化分野に多額の投資を行っている。コインテレグラフの報道によれば、JPモルガンはプライベート・ブロックチェーン「Kinexys」上で自社のプライベート・エクイティ・ファンドをトークン化したほか、BNYメロンはRWAプラットフォーム「セキュリタイズ」と提携し、担保付ローン債(CLO)のオンチェーン化を進めている。

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