大手監査法人のKPMGは、ブロックチェーンがこの先12カ月で企業からの投資の増加を見る5つの新興テクノロジーセクターの1つになると予想するレポートを発表した。

「Enterprise Reboot」というタイトルが付けられたこのレポートは、KPMGインターナショナルとHFSリサーチがまとめたものだ。年間収益が10億ドルを超える、最大級の公開企業をフォーブス誌がリストした「フォーブス・グローバル2000」掲載企業の900人の幹部に対する調査に基づいている。

レポートは、パンデミックによってブロックチェーンに対する投資が63%減少したことを報告する一方、新型コロナ後のビジネス環境において大手企業が競争上の優位を獲得しようとするのに伴って、人工知能(AI)、クラウド、5G、プロセスオートメーションテクノロジーと並んで、ブロックチェーンセクターが投資の増加を見るだろうと予測している

テクノロジーへの支出、大いなる打撃

KPMGは、新型コロナウイルスによってロックダウンと不況が発生し、企業がその他のあらゆる考慮すべき事項よりも生き残りを優先することを余儀なくされるなか、グローバル2000掲載企業が新興テクノロジーに対する資金拠出の削減にすばやく動いたことを指摘した。調査対象の幹部の約40%は、新興テクノロジー構想への投資を完全に停止したと回答した。

レポートによれば、ブロックチェーンへの投資は新型コロナによるロックダウンによって最も大きな打撃を受け、分散型台帳技術(DLT)は加重平均投資が1800万ドルの最大の新興テクノロジーセクターから、650万ドルと2番目に小さいセクターへ転落した。

調査対象の幹部らは、ブロックチェーンへの投資は平均で63%減少したと報告したが、これは、新興テクノロジーセクターの中で最も大きい平均減少割合であった。

しかしレポートには、新型コロナがデジタル化構想の加速に弾みをつけたと、幹部の59%が感じていることも報告されている。

競争力を高める

幹部らは、ブロックチェーンへの投資が「競争的ポジショニング」を向上させ、効率性とガバナンスプロセスを改善させ、「インフラの近代化のための土台」を提供すると考えられていると報告している。

幹部の65%は、新興テクノロジーを複合して利用することが、単一のテクノロジーに孤立して投資するよりも大きな収益を生み出すと考えていることをレポートは突き止めた。

しかし、KPMGのイノベーション担当国際責任者のスティーブ・ヒル氏は、信頼の問題が分散型台帳技術を妨げ続けると述べた。

「AI、ブロックチェーン、IoT(モノのインターネット)などの新興テクノロジーにとって、目に見える信頼のギャップは、普及に向けた深刻な障壁となり続ける」とヒル氏は述べた。

「組織はコロナ禍からの回復を目指して新興テクノロジーの配備を成功させるために、信頼の問題を正す必要があるだろう。(中略)それに成功した組織が、より良い形で回復への道を乗り切っていく可能性が高い」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン