ビットコインとブロックチェーンの境目―様々なその見え方

ビットコインとブロックチェーンはある時は同じものに見え、そしてある時には排他的な相互に混ざらないもののようにも見える。今回、コインテレグラフは、ビットコインとブロックチェーンは全く別物なのかどうか専門家にその意見を尋ねた。

 

 

ブロックチェーンを通じてビットコインへ

NetcoinsのCEO兼創設者であるMichael Vogel氏は次のように語っている―

 

「ビットコインなしでブロックチェーンを利用することは可能なのでしょうか?もちろんそれは可能です。しかし、多くの人が失念している重大なポイントは、ビットコインによって提供される分散性が存在しなかった場合、プライベート・ブロックチェーンは単純に他のデータベースとあまり変わらないものになってしまうという点です。これは特に、ブロックチェーンにおける長期的な私的データの利用に頼っている場合、ビットコインベースのブロックチェーンはホスト先の企業に依存しないものであるため、とても重要になってきます。

また、大規模な組織がブロックチェーンを利用したいがためにビットコインという”見知らぬ領域に足を踏み入れる”傾向が見受けられます。これ自体は特に問題ありません。しかし、”ブロックチェーン”というタームの方が”ビットコイン”より重荷が少なくとっつきやすいから、という理由だけで安易に導入しようとしすぎだと私は思います。会議の場で重役に対して、スタンドアロンなブロックチェーンを導入しよう、と提案する方が簡単です。究極的に考えれば、一端組織が、ブロックチェーンがどのようなものなのかを理解してしまえば、ビットコインを導入するより恩恵を受けることにはなるとは思いますが」

 

 

Emercoin開発者リーダー、Oleg Khovayko氏が、ビットコインはブロックチェーンとは全く別物なのかどうか、という問いに対して次のように答えている―

 

「もちろん、そうです!どのアルトコインにも独自のブロックチェーンが在り、ブロックチェーンとは独立して存在しています。現在600種以上もの利用可能なアルトコインが世界中に流通しています」

 

 

Factom創設者、Paul Snow氏は次のように説明している―

 

「ブロックチェーンに必要とされているものは、公証人です。ビットコインは公証人として、以下の二つを証明してくれます―

 

  1. 特定の目的のために、特定のチェーンを動作させているかどうか
  2. 掲示しているチェーンがその目的のための唯一無二で有効なものかどうか

 

Factomはビットコインをこの公証人という目的のために利用していますが、他にも不必要なトランザクションをビットコインに挿入しないようにブロックチェーンのような技術を利用することも可能にしています。

公証人なしにブロックチェーンを運用すると、新規参入者が、公開されている取引履歴(ブロックチェーン)が改ざんされていない正しいものなのか、きちんとしたものなのか、といったことを確認することが出来なくなってしまいます。

つまり、まだブロックチェーンを導入していない人達が新規に参入してきた場合、運が良ければ優良なユーザーとやり取りすることになりますが、最悪の場合、詐欺や不正を働いたことのあるユーザーとやり取りをすることになるわけです」

 

 

可能だがリスクはある

 

Toni Lane Casserly氏はビットコインやブロックチェーン技術分野のアドバイザーだ。彼女は次のように語っている―

 

「一般的にはサイドチェーンを利用するのが最善と答えは出ています。しかし、必ず、というわけではありません。つまり、(人々がアルトコインを作り出し、利益を吸い上げ、捨て去ったのと同じように)外部にブロックチェーンを作るということは、基本的に購入者を大きなセキュリティリスクにさらすということと同義なのです」

 

Bitwage創設者兼社長、Jonathan Chester氏は次のような鋭い指摘をしている―

「これが正しい質問、とすら私は思いません。

ブロックチェーンはビットコインとは全く別物なのか?

個人的には明確に答えはイエスだと言えます。

私は、ブロックチェーンを、ある一定のコンセンサスのメカニズムに基づいて意思決定が行われる完全な透明性を実現した元帳であると定義しています。一旦そう定義してしまえば、取引や取引が記述されたブロックが暗号化され、それまでのトランザクションやそのブロックに紐づけられる、つまりその仕組みが”ブロックチェーン”と呼ばれている所以がわかるわけです。

つまり、これが定義であるのなら、圧倒的に答えはイエスです。

しかし本当にそうなのだとしたら、このブロックチェーンを使って何を実現しようとしているのでしょうか?現行のテクノロジーにとってより有用なものとなるのでしょうか?何故単純に分散型元帳を利用するのではなく、ブロックを必要としているのでしょうか?

決済という点では、ビットコインをブロックチェーンと分けるのはほぼ不可能です。

ビットコインがあるから、トークン自体に価値があり、市場によって価格が決定され、人々は価値があるから買ったり売ったりしたいと思うわけですから、そのトークンの動きこそが決済そのもの、ということになります。

しかしトークンに価値がなかったらどうでしょう?ただその価値を表示しているだけになります。

そうするとあなたはただクレジットを生み出しただけで、市場の需要は均衡してしまいます。

実価を変動させることなく、ただ表示しているだけだからです。

ではプライベート・チェーンではどうでしょうか?この場合、新しい市場参加者は銀行です。一般的な、自由を求めて流行に飛び乗るような人々や、新しいテクノロジー(Uberなど)を生み出し、そのための法律を作り、時代をリードしようとするような人々とは違い、銀行はかなり規制された環境にその身を置いています。新しいテクノロジーを採用するためには、政府(銀行は独自の判断でビットコインを利用することが出来ない)によって認可を受けなければなりません。つまり、プライベート・ブロックチェーンを決済のメカニズムとして利用するためには、政府印の認可が必要だということです。おそらく、一国内でのかなり短い期間であれば、新たな決済方法として同意を得ることは可能でしょう。しかし世界中が、この新たな決済メカニズムを導入したいとして、その合意を得るために努力する様を想像してみてください。これはかなり険しい道のりです。不可能ではありませんが、おそらくすぐには無理でしょう。例えば、ヨーロッパのレギュレーションを例に挙げてみると、議案が提出され、指令が出される、もしくはレギュレーションがかけられるまでに約18ヵ月かかります。指令が出されてから実施するまで国には二年の猶予があります。そのため、欧州委員会や欧州規制当局が国に手数料を支払えと脅しをかけるまで、多くの場合普及までに時間がかかります。では、ブロックチェーンを世界的な規模で普及させようとした場合、一体どれだけ時間がかかるのか想像してみてくだい。トークンはどのようにして発行されるのでしょうか?トークンは現地通貨で決済されるのでしょうか、それとも送金した国の通貨で決済されるのでしょうか?どれもそう簡単に解決できるようなものには思えません。

でも考えてみてください、これがビットコインであれば、実際に決済として利用することが出来ます。そして現在、Bitwageのような企業が存在し、国をまたいで働く従業員や請負業者などにビットコインで支払いをして実際にビットコインを給料として活用しているユースケースが存在しています。プライベート・ブロックチェーンを利用した決済とは、乗り越えられない政治的障壁に遮られた机上の空論でしかないのです。

しかしそれはビットコインと分断されたブロックチェーンに全く価値がないということではありません。これは単純に決済にまつわるユースケースに限った話です。

ブロックチェーンにもまた透明性の観点と、スマートコントラクトによる自動化という観点から見た透明性という価値が存在します。

より優れた透明性によって価値が派生可能な場合(プルーフ・オブ・オーナーシップ―家や車の権利証、オリジナルのメディアコンテンツや服、実際のダイヤモンドや宝石など)や、仲介(IoTデバイス用の身分証明など)が必要な入力されたデータに基づいた個々のトークンやその情報の流れを作ることができれば、決済自体は関係ないので、必ずしもビットコインが必要というわけではありません。

ビットコインの利点は主に、大規模な高セキュリティのネットワークと、全てトランザクションを公開していて公的なものであるということ、そしてスタートアップやSMBがテクノロジーをより手軽に活用できる、という部分にあります。しかしながら、ネットワークのセキュリティがプルーフ・オブ・ワークの信頼性によって実現可能であれば、実価がついているトークンは必ずしも必要というわけではありませんし、非ビットコインブロックチェーンも適用可能なはずです」