ここ1か月でビットコイン(BTC)の価格が12万2000ドルを突破する中、多くのビットコインのクジラ(大口保有者)が目覚め、巨額の利益を確定した。しかしアナリストらは、これは市場の成熟を示す良い兆候であり、ビットコインの価値を損なうものではないとみている。
ビットコイン金融サービス企業スワン・ビットコインは、「ビットコイン史上最大のローテーション」がほぼ完了しつつあるとX投稿で指摘。古参のクジラたちが、企業やトレジャリー企業のような「確信を持つ新たなタイタン」に入れ替わっていると主張した。
今月初めには、サトシ時代のクジラが保有していた8万201BTC(96億ドル相当)を複数回に分けて売却。その過程で価格は一時4%下落したが、これは「市場に消化された」一時的な動きであり、長くは続かなかったとビットコイン研究者のビジャイ・ボヤパティ氏は述べている。
一方、市場データ分析企業クリプトクオントは、今回のビットコイン売りが、新たなクジラたちによる利益確定であったと指摘。その結果、ビットコインは12万ドル超の水準を維持できなかった。
「クジラの売却はビットコインにとってプラス」
ZXスクエアード・キャピタルの共同創業者兼CIOであるCK・ジェン氏はコインテレグラフに対し、「クジラの売却はマイナスではない。新たな買い手が参入していることが、新たな強気市場の健全な力学を示している」と述べた。
仮想通貨データ分析プラットフォームのサンティメントによれば、10〜1万BTCを保有するウォレットは3月末以降、さらに21万8570BTCを買い増ししており、全供給量の0.9%をこの期間に蓄積したという。
機関投資家の台頭
ジェン氏は、「古参のクジラたちが退場し、機関投資家が参入することは、システムの自然な進化であり、秩序が生まれる」と語る。
とりわけ企業のビットコイントレジャリー(企業資産としての保有)は人気が高い。Bitboのデータによれば、ETF、国家、企業、ビットコイン採掘企業、DeFiなどを含む219のエンティティが、合わせて360万BTC(4190億ドル超)を保有している。
「今では企業財務やビットコイントレジャリーといったものが存在しており、ETF市場も加わることで、よりウォール街的な力学が働いている」とジェン氏は述べる。
「将来のビットコインの発展においては、こうした新たな秩序が生まれていく。健全な成長の一環だ」と続けた。
ただし、ジェン氏は、今後もしばらくは価格変動が続くと予想している。「ビットコインが真の『デジタル・ゴールド』となるには、まだ数回のサイクルが必要だろう」と述べた。
ビットコインの金融化が進展
オーストラリアの仮想通貨投資運用会社マークルツリー・キャピタルのCIOであるライアン・マクミリン氏は、コインテレグラフに対し、「サトシ時代のビットコインが動き始めたのは、ゆるやかではあるが明確な金融化の流れを示している」と語った。
「初期のウォレット、アーリーアダプター、サイファーパンク、リバタリアン的な技術者たちから、機関投資家やETFへとビットコインが移っていくことは、市場の成熟と金融システムへの統合を意味している」
これは、2000年代初頭に金のETFが登場してから10年かけて、1オンスあたり350ドルから2000ドルへと価格が上昇していった過程と似ているという。
「年金基金などの機関投資家が今後ビットコインに本格的に投資するようになれば、資産配分戦略の一部として高値で利益確定をし、下落時には買い増しするという動きが出てくる。これによりボラティリティは減少し、保守的な投資家、たとえば保険会社などにとっても、より魅力的な投資対象になるだろう」
クジラの売却は分散投資の一環か
ビットコインの創成期からのクジラによる売却は、AIなど高成長が見込まれる他分野への分散投資の一環かもしれないとジェン氏は指摘する。
「資産の持ち主が変わることは、市場にとって健全な兆候だ。価値そのものが損なわれるわけではない」と述べた。
「不動産を買ったときのことを想像してみてほしい。10年後、20年後に大幅に値上がりしたり、自分の状況が変わったりすれば、売って利益を確定させ、別のところに投資するかもしれない。新たな買い手がその物件を買ったとしても、その物件の価値自体は何も変わらない」
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