ジャック・ドーシー氏が率いる米モバイル決済のスクエア社が全資産の1%を仮想通貨ビットコイン(BTC)を持っていると明かしたことをきっかけに、先週末にビットコイン価格の上昇が再開した。スクエア社単体での影響も大きいが、マーケット関係者が注目したのは、今後、米企業が余剰資金の移動先の1つにビットコインを選ぶ可能性が高まったことだろう。

とりわけ、bitcointreasuries.orgがまとめた以下の「上場企業のビットコイン資金」が話題を呼んでいる。公開情報を見る限り、米企業はビットコイン供給量全体の2.85%にあたる約64億ドル(約6800億円)相当のビットコインを保有していることになる。

(出典:bitcointreasuries.org「上場企業のビットコイン資金」)

トップは断トツで米国の仮想通貨投資会社グレーイスケールの44万9596BTC。ビットコイン信託などが有名だ。2位は、先日、5億ドル(約530億円)の現金をpebibytes に投資すると発表したマイクロストラテジーの3万8250BTC、3位は元ゴールドマンサックスのパートナーであるマイク・ノボグラッツ氏が率いるギャラクシー・デジタルの1万6651BTCだ。

米国の他、欧州やカナダ、オーストラリアを拠点にした企業が含まれている。日本企業は含まれていない。

マーケット分析を手掛けるウィリー・ウー氏は、企業の金庫には5兆ドル(約530兆円)が眠っており、ビットコイン購入の流れは始まったばかりとみている

アダマント・キャピタルの創業パートナーであるトゥア・デミースター氏は、上場企業によるビットコイン保有の次は「ビットコインの生命保険」の波が来ると予想している

バイデン勝利でビットコイン急騰?

以前はマーケットに優しいのは減税や規制緩和の期待ができるトランプ大統領という見方が大勢だった。しかし最近、民主党のバイデン候補が大統領選で勝利して民主党が上下両院の過半数も獲得する「トリプルブルー」を期待する声も出始めてる。

スリー・アローズ・キャピタルのシュー・ジュCEOは、民主党が完全勝利すればビットコインに追い風とみている。

「バイデンはビットコインにとって追い風だ。民主党の青の波が前例のないMMT理論アジェンダの実行を促すことになり、米ドル安と財政赤字の増加が誘発される。ただ、トランプ勝利でもビットコインにとっては強気要因だ」

最近、11月3日の米大統領選でバイデン前副大統領が勝利すればビットコインに追い風という論調が増えている。

ブルームバーグは、先週末、バイデン政権は規制の透明性から仮想通貨をメインストリームでの普及に向けて突き動かし、ビットコイン価格高騰、さらにはビットコインETF(上場投資信託)の承認につながるのではないかと予想した