4月30日、ビットコイン(BTC)の価格は一時9万3000ドルを下回った。これは、米国の国内総生産(GDP)速報値が2025年第1四半期に−0.3%と、市場予想の+0.3%を大きく下回る結果となったことを受けた動きだ。一方で、GDPデフレーターは3.7%と2023年8月以来の高水準となった。
同日、ポリマー毛とによる2025年のリセッション(景気後退)入りの確率は67%に上昇し、消費者信頼感指数は2020年5月以来の低水準をつけた。
2025年3月の個人消費支出(PCE)のインフレ率は2.3%と予想の2.2%をやや上回り、コアPCEは2.6%で市場予想通りとなった。一方で、2月のコアPCEは2.8%から3.0%へと上方修正され、インフレ鈍化の兆しと根強いインフレ圧力が混在する状況となっている。
短期は弱気、長期は強気の構図か
2020年のコロナショックでは、ビットコインは当初、伝統的な金融市場と連動して急落したが、年末にはマネーサプライ(M2)の急増を背景に300%超の上昇をみせた。
しかし、2025年Q1のGDP縮小とデフレータの急上昇というスタグフレーション(景気後退下のインフレ)的な状況は、短期的にはBTCにとって逆風となる可能性がある。
とはいえ、2025年3月のPCEデータはインフレ圧力の緩和を示唆しており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ懸念の後退がビットコインにとって支援材料になる可能性もある。
ビットコインの現物売り圧力が急増
過去3日間で、ビットコインのスポット(現物)市場における出来高デルタは累計3億ドル超のマイナスとなり、9万5000ドル水準での売り圧力が高まりつつある。
グラスノードのデータによると、7日間移動平均ベースのスポット出来高デルタは、4月26日に1600万ドルの小幅な売り越しから始まり、27日には3090万ドル、28日に7610万ドル、29日には1億9340万ドルと段階的に増加した。
このような急激な売り圧力の増加は、短期トレーダーによる利益確定売りや、短期的なトレンド反転を示唆する可能性がある。
しかし、中小の保有層は売り越し傾向となっている。10〜100 BTC保有層のトレンドスコアは0.6、1〜10 BTCは0.3、1 BTC未満は0.2と、売り越し傾向が明確だ。
これは、短期保有者が9万5000ドル水準で利益確定に動いていることを示している。市場が「利益確定圧力テスト」を受け、重要な正念場に差しかかっていることを意味している。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。