ビットコイン(BTC)は、地政学的な不確実性の高まりや、それに伴う原油価格の高騰局面では、一般に安定した投資先とは見なされていない。特に市場が混乱し、投資家が安全資産へと資金を移す状況では、ボラティリティの高い資産からは資金が流出しやすい。
しかし、過去のデータを振り返ると、こうした市場の歪みが発生した瞬間に、果敢に行動できるトレーダーにとっては、ビットコインの買い場となってきたことも事実だ。
原油高とBTCの価格調整は一時的に連動する傾向
緊迫する国際情勢を前に、投資家は通常、短期国債や現金など、価格変動の小さい資産に資金を振り替える。こうした環境下では、ビットコインは敬遠されがちだ。しかし、過去には原油価格が急騰した直後の1週間で、ビットコインが顕著なパフォーマンスを見せた例もある。
15分足チャートでは、ビットコインと原油の間に逆相関が見られる。たとえば、今週水曜から金曜にかけてWTI原油が19%上昇した一方で、ビットコインは11万200ドルから10万2800ドルまで下落した。この動きは、ビットコインがディフェンシブな資産ではなく、「リスクオン」資産として機能していることを裏付けるように見える。
ただし、長期的な視点で見ると、ビットコインと原油価格の間に一貫した相関性はない。むしろ、その関係性は大きく変動している。とはいえ、原油価格が急騰したタイミングでは、ビットコインも一時的に急落し、その後短期間で反発するというパターンが、過去1年で3度も確認されている。
過去の反発事例
直近の例は2025年1月15日。原油は6日前の72.50ドルから80.50ドルまで急騰し、それと前後して1月13日にビットコインが8万9300ドルまで下落。その後1月20日には10万9300ドルまで回復し、22%のリターンを記録した。この時期、米国はロシアの石油部門に対して制裁を発動し、米国内の原油在庫は8週連続で減少していた。
また、2024年10月8日にも、原油価格は68.00ドルから77.50ドルに急上昇。ビットコインは10月10日に一時5万8900ドルまで調整したが、8日後には6万8960ドルまで反発し、16%の上昇となった。この背景には、中東で10月7日に発生したテロ事件があった。
同様の動きは2024年8月13日にも見られた。リビアで武装勢力による油田の一時閉鎖が報じられ、原油は74ドルから80ドルに上昇。ビットコインは8月15日に5万6150ドルまで下落したが、その後数日で6万5000ドルまで反発し、16%の上昇となった。
今後もこのパターンが続く保証はないが、足元では再び原油価格が5カ月ぶりの高値圏に達している。過去の動向を踏まえれば、現在のビットコイン価格は、再び有望なエントリーポイントとなる可能性がある。もし過去と同様の上昇率を見せれば、6月21日までに11万9200ドルへの到達も視野に入りそうだ。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。