仮想通貨ビットコイン(BTC)は、昨日、1万6000ドル近くまで上昇した。ビットコインのドミナンスが上昇してビットコイン の一人勝ちの雰囲気が出ているが、一部のアナリストはイーサ(ETH)の動きを注視している。過去1週間のイーサのパフォーマンスは強く、イーサの最高値更新の可能性も上がっている。

イーサの強気相場入りの背景には3つの要因がある。1つ目はイーサリアム2.0の発表、2つ目はイーサが重要なサポートラインを持ったこと、そして3つ目はアルトコインの上昇は歴史的にビットコイン上昇の後に来るということだ。

ビットコインからイーサへ資金移動?

10月から11月にかけてのビットコインの圧倒的な強さにアルトコイン勢は押され気味だ。しかし、仮想通貨マーケット全体に強気な心理が覆っていることは間違いない。

仮想通貨ブローカー「ビクアント(Bequant)」のリサーチトップであるデニス・ヴィノコウロフ氏は、コインテレグラフに対して、ビットコインからイーサへの資金流入が起きるだろうという見方を示した。

ヴィノコウロフ氏が注目しているのが、ビットコインをイーサリアムネットワーク上にロックするタイプのDeFi(分散型金融)だ。

「ビットコインが1万5000ドルを突破する中で、すべての人の注目はビットコインに集まっている。しかし、最近のイーサリアムのアプデートによって一部の資金がイーサリアムのエコシステムに流れるかもしれない。ビットコインが激しく売られるという訳ではない。ビットコインをイーサリアムのネットワークにロックするトレンドが加速する可能性があり、ユニスワップなど売られすぎのDeFiやDEX銘柄が息を吹き返すかもしれない」

また、テクニカル的にもイーサに追い風が吹いているようだ。

アムステルダム証券取引所のフルタイム・トレーダーであるマイケル・ヴァン・デ・ポップ氏は、ビットコイン建てのイーサ(ETH/BTC)が重要なサポートゾーンである0.026に到達したことを高く評価している。

イーサリアム2.0で高まる期待

イーサリアム2.0の第1段のローンチは、イーサにとっても重要な転機となるだろう。イーサの取引容量の大幅な増加が達成されることになり、新たなDeFiブームを後押しするかもしれない。イーサネットワーク上での渋滞は取引手数料の高騰を抑制する効果も期待できる。

また、イーサリアム2.0はプルーフオブステーク(PoS)への移行を支持している。イーサをネットワークにステークして見返りをもらうというインセンティブが働くことで、取引所間でのイーサの供給量が減るかもしれない。

さらにイーサ価格が上昇することでステーキングをするたえにイーサを集めるインセンティブが働く。

イーサリアム財団は11月4日に、ブログでETH2預金アドレスを発表。イーサリアム2.0を12月1日12時(UTC時間)を目処に立ち上げる予定を示した。このアドレスは、フェーズ0の一部であるビーコンチェーンに先駆けて、ステーキング参加者が資金を用意するためのアドレスになる。

イーサリアム2.0は、ビーコンチェーンと呼ばれる主要なブロックチェーンが含まれることになり、シャードと呼ばれる64のサイドチェーン全てを管理する。すべてのシャードは完全なPoSシステムとして機能し、それぞれが独立して取引の履歴を管理。それぞれのノード(ネットワークに参加するコンピューター)は全ての取引を承認するのではなく、特定のシャード用に取引を承認することになる。

イーサリアム2.0のアップグレードは、12月1日の1週間前までに32イーサの預金数が1万6384を越えれば、イーサリアム2.0のアップグレードが開始できる見込みだ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン