好きか嫌いかに関わらず、アーサー・ヘイズの言葉を人々は受け入れてしまうようだ。
YouTube番組の「Impact Theory」にゲストとして出演したヘイズ氏は、2026年までにビットコインが75万ドルから100万ドルに上昇するという持論を展開した。
私は大規模な金融危機が訪れることを強く信じている。おそらく世界恐慌よりも酷いものが10年以内に起こる。それが起きる前に我々は株式、不動産、仮想通貨、美術品など、あらゆる資産クラスで第二次世界大戦以来の強気市場を経験する。
ヘイズ氏は、米国政府が経済危機のたびに介入して救済策を実施してきたことで、米国の経済には構造的な問題が生じていると指摘。中央銀行が通貨を発行することで、株式や不動産などといった資産の価格が上昇する一方で、その代償としてインフレが発生する。ヘイズ氏は、政府の救済が経済が成長と修正という自然な市場サイクルをを妨げていると危惧した。
「私たちは皆、政府は本質的に景気循環をなくすために存在するということに同意している。経済に悪いことが起こってはならないし、もし起こったとしても、政府が介入して自由市場を破壊することを望んでいる。だから過去80年間、金融危機が起こるたびに、私たちは政府を介入させ、自由市場を破壊してきた。何が起きたか?政府が駆けつけ、システムを救いたいがために、本質的に自由市場の一部を破壊してしまうのだ。
それでは、ヘイズ氏がビットコインに強気な理由をいくつか見てみよう。
膨れ上がる負債と制御不能のインフレ
ヘイズ氏によると、政府債務が膨れ上がるにつれてロールオーバー(借入金を別の借入金で返済して借り換えを行うこと)に迫られる多額の債務、そして生産性の低下は、お金を刷ることでしか対処できないという。通貨膨張は強気相場をもたらすが、その結果は高インフレになりがちだ。
「まず第一に、株式、仮想通貨、不動産など、供給が決まっていて、生産性が高く、収益もある程度見込めるものに対して、大規模な強気相場が生まれる。しかし、その後、政府はすべてを救うことはできないということが明らかになる。政府は、債券の利回りと価格を操作して自分たちを救おうとお金を刷ることはできない。その結果、世代交代的な崩壊が起こるだろう。
ヘイズ氏は、2026年頃に株式や不動産などの資産価格のピークが訪れ、その後、大恐慌のような状況が到来すると考えている。
米国政府が銀行システムを破綻させた
将来のインフレ要因について質問されたヘイズ氏は、2026年までにロールオーバーされなければならない7兆7500億ドルの米国債と、米国債の逆イールドカーブに焦点を当てた。
従来は中国や日本などが米国債の主な買い手だったが、今はそうではない。ヘイズ氏は、この変化が米国の状況を悪化させると考えている。
Why do I love these markets right now when yields are screaming higher?
— Arthur Hayes (@CryptoHayes) October 4, 2023
Bank models have no concept of a bear steepener occurring. Take a look at the top right quadrant of historical interest rate regimes.
It's basically empty. pic.twitter.com/P6MQnCU73N
ヘイズ氏は米国の銀行システムは機能的に破綻していると考えている。機能的に債務超過に陥っているのは、銀行が規制当局のルールに従って運営してきた結果であり、銀行は預金を受け入れて低利回りの米国債を購入することで会計的利益を上げてきたことが要因だ。ほぼ無限のレバレッジをかけ、数ベーシスポイントの価格変動差でそれを実現し、全員が大儲けして多額のボーナスを手にしたからだ。」と指摘した。
“2021年に銀行が一斉に国債を購入し、その後価格が大幅に下落したため、地方銀行危機が発生した。”
ヘイズ氏は、米国銀行システムは構造的に破綻しており、米国債をこれ以上購入することができないと考えている。米連邦準備制度理事会(FRB)が量的引き締め(QT)を実施しているため、FRBも米国債をこれ以上購入することはないと指摘した。
ヘイズ氏は、市場はこの状況を消化しており、その重要な点は、米国債の利回が高くなっているにもかかわらず、金価格は高止まりしており、以前は米国債を購入していた一部の市場参加者は関心を示していないことであると説明した。
現在、銀行は預金を集めるのに苦労しており、預金金利と市場で現在利用可能な金利を一致させるのが難しくなっている。このため、銀行の収益性と債務管理にストレスがかかっており、これは銀行システム全体の機能にとって危機的になる可能性がある。多くの仮想通貨支持者と同様に、ヘイズ氏は、このような時期に、一部の投資家はビットコインを含むさまざまな投資オプションを検討し始めると考えている。
ビットコインが75万ドルを目指す理由
ヘイズ氏は、世界と米国の経済の見通しは一般的に暗いにもかかわらず、ビットコインの価格は引き続き優位に立つと予想しており、2026年までに75万ドルから100万ドルの範囲に達すると予測する。
「今年、何らかの金融的な混乱が起こり、実質金利がマイナスであることが認識されると、ビットコインの価格は25000ドルから30000ドルの範囲で推移すると予想される。名目成長率が10%であっても、実質金利が5%または6%しか得られない場合は、たとえ高金利であっても、一部の投資家は他の資産、その1つとして仮想通貨を購入し始めるだろう。」
2024年に入ると、金融危機が発生して金利が0%近くに低下するか、政府が金利を引き上げ続けるが、政府の支出ペースと同じではなく、投資家が高いリターンを求め続けるかのいずれかになると予想する。
米国、欧州、場合によっては香港でビットコイン現物ETFが承認され、半減期を迎えることで、2024年6月または7月にビットコインの価格は70,000ドルの新しい最高値を更新する可能性があると主張。2024年末までに最高値を更新すると、「本当の楽しい、本当の強気市場が始まり、ビットコインは75万ドルから100万ドルの範囲に入る。」と指摘した。
この価格水準が維持されるかどうかを聞かれたヘイズ氏は、すべての強気市場後に発生したように、ビットコインの価格は70%から90%下落する可能性があると話した。