ビットコインは、仮想通貨取引所バイナンスで史上最高値である61950ドルを記録した翌日に60000ドルを割り込む下落を見せた。しかしオンチェーンデータによると、当面は上昇トレンドが続く可能性が高いことが示されている。

ビットコインの短期的な楽観傾向を示す指標としては、仮想通貨取引所へのステーブルコインの流入増が挙げられる。

現在は資金調達率が高くなっていることが価格を引き下げる原因となっているが、ステーブルコインの流入がこの影響を上回り、ビットコイン価格を引き上げることになる可能性が高い。

資金調達率とは先物市場でロングとショートのバランスをとるための仕組みだ。ロングポジションが多いと資金調達率はプラスになり、ロングポジションを保有するために手数料を支払わなければいけなくなる。

最高値更新後に下落した理由

ビットコインが史上最高値を更新し、価格発見の段階に入ると、市場への関心は急激に高まる。過熱した市場には多くの流動性があり、クジラ(大口投資家)などが利益を得るのに最適なタイミングになる。

Bitcoin funding rates. Source: Bybt.com

著名テクニカルアナリストのflibflib氏は、60000ドルを割る下落前に、先物市場の高い資金調達率と仮想通貨取引所でのビットコインの流入があったと指摘した。

下落前に資金調達率は0.05〜0.1%で推移。これは通常の5〜10倍高い値だ。flibflib氏は次のように下落の理由を説明している。

「高い資金調達率やビットコインの巨額の流入、週末の上昇の後にビットコインは一時的に下落した。」

クジラはビットコインの売却の際に取引所へビットコインを入金することが多い。今回の下落はクジラの売り圧力と高い資金調達率が合わさったことが下落の要因と考えられる。

ステーブルコインの流入は上昇の兆候

一方で、クリプトクオントのデータによると、上昇が一時的に止まったにも関わらず、ステーブルコインの流入額は増加している。

仮想通貨市場のトレーダーは、銀行口座に出金するのではなく、テザーやUSDCなどのステーブルコインで保有資産をヘッジする。

BiTC exchange reserve (blue), stablecoin inflows (green) vs. BTC price (yellow). Source: CryptoQuant

上図の緑色の線が示すように、ステーブルコインが取引所に流入し始めると、資本がビットコインに戻ろうとすることを示す。

クリプトクオントのジュ・ギヨンCEOは、次のように指摘する。

「取引所へのステーブルコインの大きな流入があった。各ETHブロック(15秒)で100〜287のステーブルコインの入金があった。短期的にビットコインやイーサリアムの上昇が起こるだろう」

ステーブルコインの流入がないままにビットコインが上昇すると、上昇トレンドは持続せず、短期的に調整が起こることが多い。ステーブルコインが戻って来れば、ビットコインの勢いがさらに加速し、持続的な上昇につながるかもしれない。


翻訳・編集 コインテレグラフジャパン