ビットフィネックスのマーケットレポートによると、仮想通貨取引所FTXの影響もあり、グレースケール・ビットコイン・トラストETFの株式が大量に売却されたことが、2024年1月にビットコインの価格が大きく下落した要因の1つとして指摘している。

ビットフィネックスのレポートによれば、グレースケールがGBTCをETFに転換した後の利益確定が、BTCの価格を数日で4万8700ドルから3万8600ドルにまで下落させた調整に大きな影響を与えたという。

GBTCからの流出とブラックロックのIBITへの流入. Source: etf.com/Bitfinex Alpha

ビットフィネックスのデリバティブ責任者であるジャグ・クーナー氏は、ここ数週間の大量のGBTC株売りの主な要因として、GBTCに存在した大幅な「ディスカウント」を強調している。

「2022年後半の弱気相場の最安値では、ディスカウントは50%を超えていたが、裁定取引を行うトレーダーによって現在は存在しない。これは、現物型ETFが登場したことで最も期待された結果の1つであり、これらの投資家はこの利益を実現するために長い間待っていたことになる」とクーナー氏はコインテレグラフに説明する。

レポートによれば、GBTCが1月16日に現物型ビットコインETFに転換された後、43億ドルの資金流出があった。一方、個別の現物型ビットコインETFへの最大の純資金流入は、ブラックロックのアイシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)に向けられ、18億2000万ドルの流入があった。

グレースケールのGBTCは依然として最大のビットコインETFであり、ETFに転換される前の286億ドルから減少したものの、資産運用額は約240億ドルを維持している。

FTXがGBTC株を売却

ビットフィネックスのレポートはまた、グレースケールの信託を現物型ビットコインETFに転換することで、破産した仮想通貨取引所FTXが保有する大量の株式を売却することが可能になったとも指摘している。FTXは2200万株のGBTC株(約10億ドル)を売却した

ビットフィネックスのアナリストたちは、それぞれのビットコインETFの手数料率の影響もGBTC株の売却の一因として指摘している。レポートによると、グレースケールの競合他社は現在、0.2から0.9パーセントの手数料を請求しているのに対し、GBTCの手数料は1.5パーセントのままとなっている。

「この高い手数料が、GBTCから他のETFへの投資家の移動を促している可能性があり、特にETFの管理においてより経験豊富な伝統的金融(TradFi)の大手企業に向かっている」

1月末にビットコインETFの取引高は落ち着き始めている Source: Bitfinex Alpha/CryptoQuant.

クーナー氏によると、投資家はビットコインへのエクスポージャーを得るために、より費用対効果の高い方法を探しており、それがビットコインETF内の資金移動に影響を与えているという。1月が終わりに近づくにつれ、ETFのデータは、様々なETFファンド間の資金の移動が落ち着き始めていることを示唆している。

「1日の流出額は日々減少しているが、それでも1日平均約4億5000万ドルとかなり高い水準にある。手数料体系に変更がない限り、資金流出は続くだろう」とクーナー氏は付け加える。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン