ヴァンエックによれば、ビットコインマイナーの負債総額が、AI(人工知能)およびビットコイン生産能力拡大への投資拡大を受け、過去12か月で21億ドルから127億ドルへと急増した。
ヴァンエックのアナリスト、ネイサン・フランコヴィッツ氏とデジタル資産リサーチ責任者のマシュー・シーゲル氏は最新レポートで、次のように述べている。
「最新機器への継続的な投資を怠ると、マイナーのハッシュレートシェアが低下し、日々のビットコイン報酬の取り分が減る。この構造を我々は“溶ける氷塊問題”と呼んでいる」
これまでマイナーは株式市場で資金を調達するケースが一般的だったが、現在では負債による資金調達が急増しているという。
「マイナーの収益はビットコイン価格に大きく依存しており、安定したキャッシュフローを前提に融資を組むことが難しい。一方で、株式による資金調達は負債よりもコストが高い傾向にある」という。
業界誌のマイナーマガジンによると、2024年第4四半期には上場マイナー15社の負債および転換社債の総額が46億ドルに達し、2025年第1四半期の2億ドルから第2四半期には15億ドルへ急増した。
マイナーがAI・HPC事業に進出
2024年4月の半減期で採掘報酬が3.125BTCに減少したことを受け、複数のマイナーがAIや高性能計算(HPC)向けのホスティング事業にシフトしている。この変化が社債市場へのアクセスへの道を開いたとヴァンエックは指摘する。
「これにより、マイナーは複数年契約に裏付けられた予測可能なキャッシュフローを確保できるようになった。AI関連の安定収益により、マイナーは社債市場へアクセスでき、ビットコイン依存型の収益構造から脱却しつつある」
10月には、ビットファームズが5億8800万ドルの転換社債を発行し、北米でのAIおよびHPCインフラ整備に充当すると発表。同じくテラウルフは、ニューヨーク州バーカーのデータセンター拡張資金として32億ドルのシニア担保付債券を発行した。
さらにIRENも10月に10億ドルの転換社債を発行し、一部を運転資金などに充当する予定だ。
AI転換はBTCネットワークへの脅威ではない
ヴァンエックのアナリストは、マイナーのAI・HPC事業への転換がビットコインネットワークのセキュリティを脅かすものではないと強調している。
「AIが電力を優先的に消費する傾向は、結果的にビットコインにとってプラスだ。マイニングは、過剰電力を即座にマネタイズする手段として有効であり、AI・HPC対応データセンターの発展を支えている」
また、AI推論は人間の活動に応じて日中に需要が変動するため、電力の効率的な利用にも寄与しているという。
電力コスト削減の新たな実験も
複数のマイナーは、AI需要が低い時間帯に余剰電力をマネタイズする新たな方法を模索している。
ヴァンエックのフランコヴィッツ氏とシーゲル氏は、AIの需要が少ない時間帯に余剰電力を販売することで、ディーゼル発電機のような高コストなバックアップ電源の使用を抑えられる可能性があると指摘する。
「現段階では構想段階にあるが、これはビットコインとAIの間に存在する独自のシナジーをさらに高め、金融資本と電力資本の双方で効率性を向上させる次の一歩となるだろう」
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