ブロックチェーン開発企業ブロックストリームの最高戦略責任者(CSO)、サムソン・モウ氏は、仮想通貨ビットコイン(BTC)は決済には不向きだが、そのサイドチェーンライトニングネットワーク(LN)」が解決すると述べた。機関投資家向け仮想通貨ディーラー「SFOX」が8月15日、自社ブログにモウ氏へのインタビュー記事および動画を公開した。

LNは、BTCのスケーラビリティー問題や手数料高騰問題を解消する技術で、BTCのブロックチェーンネットワークを介することなく二者間での取引を行えるマイクロペイメント(小額決済)を可能にする。またBTCのブロックチェーン外に構築する決済ネットワークのため、オフチェーンやセカンドレイヤー技術とも呼ばれる。

ライトニングネットワークがルールを変える

モウ氏は、BTCの(少額決済など)日常的な事例がいまだに存在しないことを認め、同氏も普段の買い物では仮想通貨ではなくクレジットカードを使用していると話した。同氏によると、BTCはまったく異なる目的のために設計されているそうだ。

「BTCは、(金銭的または有用性を備えた)価値の貯蔵手段であり、富を移転するための媒介手段だ。毎日の決済に使用するものではない。この点は、以前にも話したことがある。人々はBTCをいじり回した挙げ句BTCが嫌いだと言ったが、BTCは決済には不向きだ」

モウ氏によると、LNは即時かつ実質的に(手数料が)無料の決済が可能で、日常的な利用を念頭に置いて設計されているという。同氏は、決済システムとしてのBTCはトランザクション(取引)の完了に平均で10分間かかること、またこれはあくまで平均的な時間にすぎず、場合によっては3時間かかると指摘した。

また、事実上手数料無料の決済機構としてLNが広く採用されることで、ルールが変わる可能性があると述べた。

ビットコインにあり、アルトコインにはないもの

モウ氏は、BTC作成者のサトシ・ナカモトが姿を消したため、特定の誰かがマーケティングを行ったり、積極的に管理したりしておらず、BTCは独特な地位を得ていると主張した。

「誰かが『BTCは処女懐胎により生まれた』というフレーズを作ったが、アルトコインにはそれがない。アルトコインはすべて、ビットコインのコピーだ。しかしビットコインのような処女懐胎が無い。(中略)誰かがネットワーク上で権限を主張し、誰かがロードマップを制御し、また誰かがそれらに対して影響力を持つ」

リブラはBTCと競合しない

またモウ氏は、フェイスブックのリブラについても触れ、リブラがビットコインの競合相手になるとは思わないと述べた。むしろリブラは、パイパルのような既存の中央集権型の決済システムと競争することになるだろうとみる。

リブラのウォレットがLNをサポートする可能性について問われたが、モウ氏は否定的だ。モウ氏は、ビットコインによる決済の助けになるのは、むしろキャッシュレス決済アプリの「スクエア」の方だと指摘する。

「(スクエアの)キャッシュアプリでビットコインを販売し、人々が取引できるようにしている。そして彼らはライトニングラボにも投資していたと思う。〔中略〕スクエアはフェイスブックよりもビットコインのために貢献してくれるだろう」

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版