米資産運用会社のルシッド・インベストメンツ・ストラテジーが21日、世界の債務問題に対応するためには仮想通貨ビットコインが1000万ドル(約10億9000万円)になる必要があるとし、それは可能なことだというレポートを発表。ビットコイン1000万ドル到達までのシナリオを予想した

現在、世界の国々が抱える債務の合計は247兆ドル(約2京7000兆円)(IIF調べ)。20年前と比べると394%増加していて、富の増加率である133%を大幅に上回っている。ちなみに昨年末時点では、世界の富は317兆ドル(約3京4500兆円)だそうだ。

ルシッドは、この状況を打開するために必要なのはビットコインが1000万ドルになることだと指摘。他の解決策である「ゴールド・スタンダード」や「新たな商品/通貨バスケット」、「経済成長」、「債務不履行」と比べて、「ビットコイン・スタンダード」が「最も2次被害が少なく、ダメージを受ける個人や企業、国が最小になる」と主張。「究極の『価値保存手段」」になり、「永遠の解決策」になると述べた。

「ビットコイン1000万ドル」は非現実的な予想に見えるが、ルシッドは「可能性はある」と強気だ。生き残る仮想通貨はビットコインのみというビットコイン・マキシマリストのルシッド。以下は、ルシッドが掲げるロードマップの一部を抜粋したものだ。

「ビットコイン1000万ドルへの長く曲がりくねった道のり」

最初の一歩

サトシ・ナカモトが書いたホワイトペーパーがすべての始まり。次のステップは、コンセプトを信じる人々によってもたらされ、それ以降のいくつかのステップはビットコインの改善版と称されるいくつかの中央集権的なプロジェクトの発生によってつまづきの連続だ。ビットコインは唯一無二の存在で、唯一完全に分散化されたコンセプト。「私があなたから買ってあなたが私から買う」限り、消えることは決してない。ただ誰もこのことを理解していない。唯一のちょっとした進歩はSEC(米国証券取引委員会)がビットコインとそれ以外の仮想通貨の線引きしたことだ。しかし「あまりに小規模だし、あまりに遅すぎた」。

アルトコインの崩壊

次の大きなステップは、アルトコイン市場、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)、ビットコインの重要要素を抜き取ったプロジェクトの崩壊になるだろう。このプロセスは始まっているが、規制当局が動かなければならないだろう。この期間、ビットコインの価値は下がるが、ライバルに比べてかなり遅いペースで下がる。それは今年になるのか、来年になるのか、再来年になるのかは分からない。

ロードマップ

1000ドル~1万7500ドル

真の相場の底は、1000ドルより少し下になるだろう。その後、6000ドルまですぐに上昇し、7500ドルと8500ドルで小さな抵抗がある。1万100ドルと1万1100ドルが次の大きなチャレンジだ。その上は、1万3750ドルと1万7500ドルにレジスタンスがある。それを超えたら、1万9666ドルが最後の障壁として残る。その頃にはメディアは熱狂。価格、価格、価格と煽り、フルスピードになる。

5万ドルと10万ドル

ここからのテンポは速い。過去の3回の強気相場を逃したヘッジファンド、家族経営の企業、さらなる個人投資家がなだれ込む。ビットコインの時価総額における占有率は、アルトコイン市場の崩壊を尻目に90%を超える。5万ドルと10万ドルは一時的だが重要な障壁になるだろう。

ビットコインが10万ドルに到達したら、ビットコインの時価総額が1.7兆ドルに膨らんだことを意味する。どこからマネーは流入するのだろうか?73兆ドルを誇る世界の株式市場、3.1兆ドルのヘッジファンドの資産からだ。そして、7.5兆ドルの金市場がビットコインに目も向ける。10万ドルでビットコインは、価値保存手段としての金に挑戦し始める。我々は、金の投資家もスイッチしたがらない訳がないと考える。

40万ドル

もし金の投資家がビットコイン10万ドルでも躊躇したら、ビットコインは40万ドルにならなければならない。ビットコインへのマネーは、資産を自由に扱える投資家「カウボーイ」達によってもたらされるだろう。ただこの頃には、これまでのスムーズな上昇が一服する。多くの変動、後退に見舞われるだろう。

100万ドル

100万ドルに到達するためには3つのことが起きなければならない。まず、コア開発者がスピード、透明性、コスト面で約束したことを守らなければならない。次に、企業がビットコインを受け入れ始めなければならない。言葉ではなく、行動でだ。世界2番目の資産運用会社であるフィデリティーが鍵を握る。今日我々が享受する金融システムの信頼、イノベーション、先見の明に貢献した。2600万の口座、2700万人の投資家、ほぼ7兆ドルの資産。ビットコインにも興味を持っている。最後に世界の規制機関がビットコインとその他にある違いをはっきりとさせなければならない。

100万ドルでビットコインの時価総額は18兆ドルに到達する。世界最速で成長する資産クラスだ。年金ファンドや基金、金融機関、政府機関などからも無視されなくなる。これにより、価格上昇はさらに加速。一気に1000万ドルに到達する。

大きなジャンプ?もちろんだ。可能なのか?答えはイエスだ。

1000万ドル

この水準では、ビットコインは世界の債務不安を軽減する上で十分な準備通貨として機能することになる。時価総額は180兆ドルから210兆ドルの間になる。このころに世界の借金が500兆ドルに到達していたとしよう。ビットコインは世界の借金に対して40%の準備金を提示することになる。

ビットコインが選ばれるか?その質問は間違っている。正しい質問は、選択肢があるか?だ。