ビットコインの成長は2016年に失速するのだろうか?BargainFoxとGeorgi Georgiev氏はそうは考えていないようだ。実際、彼らは共同で33つもの指標を掲示し、ビットコインの成長は今年も衰えることはないとインフォグラフィックを発表している。しかし、我々が詳しく調べたところ、2016年に関しては少し考えなければならない部分もあるようだ―半分以上が単なる参考程度の情報だが、その他は考える余地があるはずだ。

我々は、インフォグラフィックの著者に意見を伺ったのだがコメントを貰うことは出来なかった。以下の内容は、インフォグラフィックに関する我々の簡単なサマリーだ。我々は指標を、ビットコインが成長しそうなものと、疑わしいもの、2016年に確実にビットコインが成長を続けるだろうと思われるものとに分けた。

 

ビットコインが成長するだろうと思われる指標

5つのメジャーな取引所がそのボリュームを8倍まで増やしていて、合計約2億ドルの価値に相当するビットコインによる取引を行っている。これはまだ大海のほんの一滴にすぎないが、わずかにマーシャル諸島のGDPを上回っており、この一滴がさらに広がるその速度から見ると、2016年にビットコインが成長していくだろうと予想される。

たった7年間で、ビットコインのデイリートランザクションが164年も続く巨大なWestern Unionを上回ってしまっていることがわかる。次に続くのが、最近の資金調達ラウンドで5億ドルを獲得したSquareで、対ビットコインで見るとPayPalの成長は落ち込んでいることがわかる。

BitcoinとPayPalとではそのキャパシティから見れば天文学的に異なったウェイトを占めるカテゴリーに属している二つだが、デイリートランザクションのボリュームから見ると非常に近いことがわかる。つまり、ユーザーの利用数のレートで見ると興味深い指標になり得るということだ。

ビットコインは、ギークやテック愛好家などの間では速くそして時には緩やかな速度で成長していて、近年は確かに企業の目も引くような存在になってきてはいるが、まだ一般的に利用されるようなフェーズにはない。PayPalは既により保守的な潜在的ユーザーを説得することに成功し、厳しいレギュレーションや法律と戦い勝利してその成長速度に拍車をかけた巨大企業だ。

しかしこの指標の通りであれば、過去のデータを頼りに2016年のPayPalの継続的な成長を予測するのであればビットコインはさらに急速に成長すると見た方が、一貫性があるといえる。

取引手数料は、ビットコインを利用したいと思わせる大きな要因の一つだ。メジャーなウォレットサービスは為替レートの変動に応じて、ユーザーへのヘッジを開始し始めているため、ビットコインはよりその生命力を増し、さらに魅力的な決済方法になりつつある。

もし2014年がビットコインの価格と信頼に対して血なまぐさい虐殺的な年だったとしたら、2015年は緩やかだが着実な安定を生んでいただろう。2014年、ビットコイン愛好家たちは、未だCoinbaseやBitPayへの支払いが90%から100%米国ドルベースであるとして、DellやMicrosoft、Overstock.comなどのビットコインを受け付けているテック界の巨人達を引き合いに出し、噂を支持しようとした。

その結果価値が半分以下まで下がり、ビットコインは即座に基軸通貨へと換金できないのであれば絶対に受け入れられることはないことを理由に、価格が変動したとされた。2015年はその変動率が沈静化し、正のイコールによって結ばれた―少ない変動率=高いユーザーの信頼、という具合だ。

ビットコインベースのイノベーションによって、これまでに約10億ものVC投資資金がかき集められているが、その半分以上が2015年に集められたものだ。2014年の影響を受けて、2015年はその成長が落ち込んでしまったものの、トレンド自体は逆転することもなく、投資家たちはビットコインベースの企業に投資を続けており、記録的な量に達している。

注目すべきは、投資を受けさらなる成長を遂げた企業だが、その実、投資家たちが2015年に投資するに値するとして資金を提供したのは、2016年に彼らが優位な位置に立つためだったと考えられる。

 

疑わしい指標

予想された通り、2013年における初めの投資は強いテックタレントのある先進国によってなされた。しかし二年以上にもわたるこのトレンドには、小規模な経済ながらもハイテク産業のハブを作り出しているオランダやケニアなどの発展途上国、政治的にも経済的にも安定していないアルゼンチンなどの国も含まれている。もし現在全ての大陸の国々にビットコインによる投資が行き届いていれば、トレンドはポジティブであるはずだ。

しかし、ビットコインによるVC投資を受けている新しい国々の数は2015年に増え続けるといわれるにも関わらず、2014年の半分程度まで減ってしまっている。

前述のVC投資の総容量の減速から見ても、投資家たちは2014年よりも新たな市場に対してより慎重になっている可能性がある。

 

2014年におけるVC投資はメジャーな全ての産業分野で成長しているが、ユニバーサル企業は例外だ。ベンチャーキャピタリストたちは、ウォレットやフィナンシャルサービスに最も重きをおいて投資していて、次にマイニング事業や決済事業が続いている。2015年のデータを見るとさらに興味深く、デベロッパー向けのビットコインコンピューターを扱う21 Incへの1億1600万ドルの投資や、Coinbaseウォレットへの7500万ドル、ビットコインマイナーで今日までで最も投資された企業でもあるBitFuryへの2500万ドルなどを含む いくつかの注目すべき投資ラウンドがあった。

他のデータが下降を示しているとはいえ、2015年のデータがなければこのトレンドが2016年に上昇するとは言い難いところだった。

投資した企業名は、Digital Currency Groupのような業界に特化した比較的新しいVCから、よく名の知られたアンドリーセン・ホロウィッツや、Skype、Instagram、グルーポンまで多岐にわたる。

これは一般的にポジティブな事実として考えられるが、こういった投資企業が2016年にさらに有名な企業の注目を集めるとまでは言い切れないかもしれない。かといって直接的に彼らが2016年にさらに投資するとも考えづらい。

ビットコインの対抗馬はさらに成長をし続けている。最も人気のあるオルタナティブ暗号通貨(アルトコイン)のうち5つにはトータルで4億700万ドルの時価総額が付いていて、他の競合通貨に有利な市場機会があるだろうとことを示している。

しかし、時系列を見ずに時価総額の絶対値だけを見てみると、2015年に他の競合が落ち込むかどうかは判断できず、他の指標を見ても同様だ。注目すべき総時価総額からは、手放しで2016年にそれらが全て成長するとは言いがたい。

エキサイティングなビットコインベースのスタートアップ企業が出現しはじめている。しかしこれだけは言っておこう。必ずしも、それが2016年に成長すると言えるのだろうか?答えはノーだ。スタートアップや投資家たちは2016年に成功すると信じているだろう。しかし、彼らがそう信じなかった年があっただろうか?2013年も同じようにエキサイティングなスタートアップ企業が世に現れていたし、誰もが目を見張るような2014年を期待していたが、結果はあのような大暴落へと繋がってしまっている

素晴らしいスタートアップは一般的に盛り上がっているシーンではその活気の指標と見ることができるが、直接的な2016年の成長を表わしているわけではない。VC投資はゆっくりとした成長を見せている一方で、ビットコインの普及率は未だに緩慢なままなので、これには何か別の意味があるはずだ。

 

参考

現在、過去の12の指標から見ても、同じようにビットコインに関連した文脈から見てみるとビットコインが成長するだろうというその事実ははっきりと示されているが、2016年に繋がるような指標はない。

7,000以上の加盟店舗がビットコインを支払方法として採用している。大半の人がすぐに100%のレートで法定通貨に替えてしまうが、個人がビットコインをただの投機の手段としてではなく、決済の方法として利用する動機には繋がっているようだ。

しかしこのリストから2016年のビットコインの成長する可能性を見て取ることは出来るのだろうか?次のグラフィックに、2015年ビットコインを採用した多くの加盟店舗の数が2014年から三分の一近く縮小してしまっていることがわかる。新しい加盟店舗が参加し始めているのは良いことだが、レートが緩慢になっているためここからは2016年のビットコインが成長する可能性を見て取ることはできない。

一般的にこの5つのビットコインサービスプロバイダーに関してはポジティブな向きがある。しかし、2015年に設立されたわけではないため、これもまた特には2016年におけるビットコインの成長を示しているとは言えない。このグラフィックに関しての唯一関連事項と言えば、Coinifyが、ベストペイメントソリューションズプロバイダーとしてIFM賞を受賞したという点ぐらいだろうか。

多くのこういったリテーラーがビットコインを購入直後に法定通貨に換金しているのは言うまでもないが、この事実からどういったことが見えてくるだろうか?世界中にはビットコインを採用しているリテーラーが数多く存在している。TOP10に入っている加盟店の中に2015年に参加したものはないため、ここからも2016年のビットコインの動向は見て取ることが出来ない。言い換えれば、この10店舗すべてがビットコインを見捨ててはいないということだが、それでもそこからはっきりと述べることは出来ない。

最新の流行に従い、店舗や小売業者はハイテクに精通した顧客だけではないそれ以上の集客が求められる。不正な支払いによる損失を負担する必要がないというのは強力な魅力だ。そしてまさに2013年がそうだったように2015年は事実そういう年だった。しかし今年突然興味を示しだした店舗が増えるなどしない限り2016年の成長は見込めないだろう、グラフィックからはそういったデータは見て取ることが出来ない。

8つの産業が最もビットコインを利用しているといわれている。しかし、この8つの産業から2016年のビットコインの成長へとつながるリンクは見いだせない。

さらに多くのビットコインATMがキャッシュをビットコインに替えることが出来るよう設置され始めている。世界中に471基しかビットコインATMは存在していないが、ないよりはマシだろうが、少なくとも300万あると言われる一般的なATMと比べてみれば、大海の中のほんの一滴にしか過ぎないし、この一滴がたった二か国の間にしか広まっていないとなれば尚更そうだ。ここから見えてくるのはユーザーの興味とそのポテンシャルだ。しかしやはり特に2016年につながるファクターは見えてこない。

これは非常に興味深い事実なのだが、少なくとも5つの競合する存在から見えてくるのは、彼らが市場における可能性を見出しているという点だ。しかし、たった数百のATMしか市場には存在していないがマーケットシェアとの関連性などあるのだろうか?さらに重要なことは、時系列なしでは、多くは語れないということだ。

まさかビットコインの停滞や後退から2016年の成長の兆しが見えるというはずもない。

これは有益な情報だが、2016年の発展を示しているのだろうか?こら全ての国の経済に問題があるように思える。特に8割の取引が中国からによるもので、中国政府はビットコインによる取引を禁止している事実がある。やはり今年を占うには不明瞭だ。

彼らのビットコインへの投資とその関連企業は指標として使えるかもしれない。しかしビットコインが登場した早い時期に個人が富豪となっただけでは2016年の指標とはなり得ない。

こういったビットコインに関する所見を表わした興味深い事実―もまた繰り返し述べるように2016年のビットコインのその成長を示すものではない。

ビットコインの価値の上げ下げは毎年12月から次の年の1月にかけて多くの投機がなされ、顕著になるというのは我々も知るところである。我々はその中の1つを解体したに過ぎない。どの分析が一番読者の目を引いただろうか?コメントをシェアしてもらえれば幸いだ。