ビットコイン(BTC)の価格は6月13日、バイナンスにおいて10万2650ドルまで下落した。背景にはイスラエルによるイランへの空爆がある。地政学的緊張の高まりを受けて原油価格は5%上昇したが、過去のデータに照らすと、今回のビットコインの下落は買いの好機となる可能性がある。地政学的危機における過去の値動きは、ビットコインの投資対象としての強みを際立たせている。
ビットワイズ・ヨーロッパのリサーチ責任者アンドレ・ドラゴシュ氏は、2010年以降に発生した主要な地政学的リスクイベント上位20件に関するデータを引用し、ビットコインのパフォーマンスの傾向をXで強調した。ドラゴシュ氏によれば、ビットコインはこれらのイベント発生後50日間で平均64.6%の価格上昇を記録しており、中央値では17.3%の上昇となっている。
同氏が共有したチャートは、ビットコインの地政学イベント時のパフォーマンスを対数スケールで示している。平均パフォーマンス(緑のライン)は、イベント発生前には100付近で安定しているが、イベント後に急騰し、30〜40日後にピークを迎える傾向がある(最小〜最大値の範囲は影付きで表示)。このパターンは、現在の下落が一時的な市場の反応にすぎず、今後数週間で大きな反発が見込まれる可能性を示唆している。
ブロックストリームのアダム・バックCEOもこの見解を支持しており、ビットコイン否定派のピーター・シフ氏の懐疑論に対して、2020年以降に発生した主要イベント10件のデータをもとに反論した。バック氏のチャートもビットワイズの傾向と一致しており、2020年1月の米国とイランの対立後にはビットコインが20%上昇し、しばしば金やS&P500を上回る成果を挙げている。
さらに2020年10月に発表された研究もこれらの結果を補強している。2010〜2019年のビットコイン価格と地政学リスク指数の関係性をグレンジャー因果性検定によって分析した結果、相互に影響し合う双方向の関係性が確認された。これは、ビットコインが地政学イベントに反応するだけでなく、世界的な不確実性の中で安定資産としての役割も果たすことを意味している。
プエル・マルチプルが投資機会を示唆
クリプトクオントのデータによれば、ビットコインは現在「買いゾーン」に入っている。プエル・マルチプル(マイナーの日次収益を年間平均で割った指標)は、ビットコインが一時10万8000ドルを超えたにもかかわらず、依然として1.40を下回る割安領域にとどまっている。
このような乖離は、2024年4月の半減期によるブロック報酬の減少が拍車をかけており、マイナーの売却圧力ではなく、機関投資家による需要増あるいは供給の逼迫が相場を支えている可能性を示している。
プエル・マルチプルが1.0を下回った過去の局面は、ビットコインの蓄積フェーズであることが多く、現在の上昇トレンドが熱狂的なピークにはほど遠い可能性を示唆している。クリプトクオントは次のように指摘している。
「つまり、今の状況は潜在的な投資機会となり得る。過去最高値圏にありながらも、ファンダメンタルズが依然として保守的であることから、今回の上昇サイクルはまだ中盤にあると考えられる。」
加えて、グラスノードのデータによれば、現在のビットコイン価格は複数の短期的なコスト基準(コストベーシス)の間に位置している。1週間のコストベーシスは10万6200ドル、1カ月は10万5200ドル、3カ月は9万8300ドル、6カ月は9万7000ドルとなっており、これは投資家がビットコインを取得した平均価格を示す。多くの保有者が含み益の状態にあるため、パニック売りが発生するリスクは低いと見られているが、今後数週間で状況が変化する可能性もある。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。