ビットコインETF、次の正念場は9月に:ETFとは何か?SECの拒否理由は?北欧の先進事例を解説

 アメリカ証券取引委員会(SEC)は7月26日、タイラーとキャメロンのウィンクルボス兄弟が申請していたビットコイン上場投資信託(ETF)を拒否した。市場はこのニュースを悲観的に受け取り、BTCの価格は暴落した(24時間以内には緑色の上昇傾向に戻った)が、ETFの件は決着からは程遠い。早ければ9月にも、SECは多くの企業からの同様の申請の波に直面することになる。

ETFとは、そしてビットコインETFとは何か?

 コインテレグラフは以前に、ETFの特徴について他の記事で取り扱った。手短に言ってしまえば、ETFとは原資産(コモディティ、インデックス、債券、資産バスケット)の価格に連動するインデックスファンドのような投資ファンドの一種であり、取引所で取引され、個人投資家にも機関投資家にも利用可能である。

 ビットコインETFは、ビットコイン(BTC)を原資産として、それに連動する。間接的にBTCを購入する方法であり、投資家は当該証券を保有するだけで、実際のコインを保管する必要はない。ビットコインETFの重要な側面の1つは、規制を受けたアメリカの取引所で上場されれば、広範な一般投資家への道を開き、ビットコインの一般的な普及と、ウォールストリートの投資家の参入につながる可能性があるという点だ

 ウィンクルボス兄弟の自身の名を冠したファンド、ウィンクルボス・ビットコイン・トラストは、同ファンドのウェブサイトによると、「唯一の資産がビットコインであるためにビットコインの価格と連動できる」ETF「COIN」として、Bats・BZX取引所(BZX)に上場されるためにSECに提案されていた。「COIN」への投資は、ファンドの保有するすべてのビットコインの部分的所有権に相当するはずであった。

ウィンクルボス兄弟のETF、2度目の失敗

 SECはその決定について、7月26日に発表した92ページに及ぶレポートで説明した。基本的にSECは、ビットコイン市場が「操作に対して本質的に耐性を持つ」とするウィンクルボス兄弟の主張に納得しなかった。却下理由書には下記のように記されていた。

「この主張を支持するために提出された根拠は、不完全であり、一貫していない。さらに、データによって裏付けられていなかったり、データと相反している」

 ウィンクルボス兄弟は、ビットコインETFのアイディアをかなりの間あたためてきた。最初にSECにファンドを登録しようとしたのは13年のことである。SECが決定を下すのには4年かかった。17年の3月、「ビットコインの重要な市場は規制を受けていない」という懸念を理由にSECは申請を却下した。ウィンクルボス兄弟側はすぐさま、却下の再検討を求めて申し立てを起こし、SECは最終的にそれを受け入れた。厳密に言えば、SECの先日の決定はその申し立てに対する答えであった。

 しかしそのことは、SECが将来的に強硬路線を継続させることを意味するわけではない。何と言っても、7月26日の決定は全会一致ではなく、3対1の投票による却下であったのだから

 SECのエスター・M.・ピアース委員による公式の反対意見コメントは公聴会の直後に発表された。その中でピアース委員は、SECの動きは「我が国の市場ではイノベーションが歓迎されないという強力なメッセージを送るもので、そのメッセージはビットコインETP(上場取引型金融商品)の先行きをはるかに超える大きな影響をもたらすかもしれない」と主張した。

 このように、ビットコインETFをめぐる主要なジレンマは、市場におけるSECの役割を中心としている。拒否の決定には、仮想通貨やブロックチェーンテクノロジーが「イノベーションや投資として実用性や価値(を持つ)」かを評価する意図はないとSECは強調したが、ピアース委員はそれこそまさに最終的な決定要素となるべきだと考えた。スピーチの中でピアース委員は、デリバティブ自体ではなく、基盤となるビットコイン市場の性質に焦点を当てたためにSECは「その限定的な役割」を超えたと主張し、次のように述べた。

「SECは、国内の証券取引所へのルールは『不正な、または操作を行うような行動や慣習を防ぐために設定される』べきと義務付ける(証券取引)法を誤って解釈している。(SECは)その決定を上場されるETPではなく、BZXが取引を監視し、BZXで上場、取引されるETPの操作をBZXが防止する能力(の代わりに)、基盤となるビットコインのスポット市場にフォーカスさせている」

審査待ちのETFがまだ数多くある

ウィンクルボス兄弟だけが、アメリカで仮想通貨ベースのETFの先駆けになろうとしている訳ではない。ロイターのデータによれば、18年1月には、最低14の「異なるビットコインETFまたは関連商品」がSECで審理継続中であった。しかし、それらの申請はすぐに、SECの「流動性およびバリュエーション」に関する懸念を理由に、SCEの要請によって撤回された。それでも、それらは必ずしも全く同じ商品であった訳ではない。例えば、ウィンクルボスファンドはビットコインへの直接投資を伴うことを狙っていたが、その他多くのファンドはビットコイン先物契約にフォーカスしていた

 Cboeグローバル・マーケッツやCME(17年12月のローンチ時にBTC価格の急騰を促した)等の規制を受けた主要なアメリカの取引所で上場されてきたという事実を考慮すると、アメリカの規制当局から厳密な許可を得ていない、いわば仮想通貨のスポット市場よりも、それらの方がETFにとってより安定した基盤となるように思われる。

 SECによる審査に最も近いETFは、投資企業バンエックと金融サービス企業ソリッドXによるビットコインETFだプレスリリースによれば6月にSECに申請された。両社ともそれぞれ、以前に別々のETFを登録しようとしたが、上手くいかなかった。両社は新しいETFをCboeBZX証券取引所に上場することを目指している。

 このETFがウィンクルボス兄弟のものと決定的に違う点は、保護手段である。バンエック・ソリッドXファンドは物理的に裏付けられている、つまり実際にBTCを保有しており、両社はこのことが、仮想通貨の損失や盗難への備えになると主張している。SECへの申請によれば、バンエック・ソリッドX・ビットコイン・トラストの各シェアには、20万ドルもの高値が付けられることになっている。ソリッドXのダニエル・H.・ガランシーCEOがCNBCに説明したところによれば、機関投資家にフォーカスするために価格が高く設定されている。SECのリクエストに対して、様々なエコノミスト、CEO、ファイナンシャルアナリスト等から100を超えるコメントが寄せられたと報じられており、早ければ9月に審理されることになる

 さらに、SECの審査が予定されているETF申請は複数あり、その中には、9月中旬までSECが延期したディレクシオンによる申請も含まれる

北欧のビットコイン上場商品:スウェーデンの経験

 アメリカではSECとファンドがETFを巡って争う中、スウェーデン企業のXBTプロバイダーズはコインシェアーズと名付けられたビットコイン上場取引型金融商品の運営を成功させている。複数のヨーロッパの国の投資家が利用可能であり、スウェーデンの主要取引所ナスダック・ストックホルムに上場された15年以降、10億ドル以上の投資を受けることに成功してきた

 コインシェアーズシリーズは、それぞれスウェーデン・クローナとユーロで取引される、XBTビットコイン・トラッカー・ワン(COINXBT)とXBTビットコイン・トラッカー・ユーロ(COINXBE)から構成されている。XBTの異なるバージョンは、デンマーク、フィンランド、エストニア、ラトビアでも発行された。

 XBTの初期の大口投資家の1人は、億万長者の投資家マーク・キューバン氏であるが、彼はロサンゼルスでのバニティ・フェアのニュー・エスタブリッシュメント・サミットでの経験を次のように語った

「価値が需要と供給だけに基づく資産が多くあり、興味深かった。大半の株の場合、本当の所有権や投票権がないため、内在する価値は存在しない。株を売買する能力があるだけだ。ビットコインも同じことだ。その価値は需要と供給に基づいている。スウェーデンの取引所のETN(指標連動証券)を通じていくらか手に入れたよ」

まだ楽観できる余地はあるRoom for optimism

 ウィンクルボス兄弟がSECを説得するのに2度目に失敗してから市場が素早く立ち直ったことは、アメリカの規制を受けた取引所をビットコインETFが勝ち取ることに投資家がまだ望みを抱いていることを示している。SECのへスター・ M.・ピアース委員の反対意見は、SECの決定に対して希望の兆しとなることで、その考えをさらに後押ししているようだ

 ETFの将来についての強気な考えをシェアしている業界関係者もいる。グローバルテクノロジーベンチャー投資企業のファットフィッシュ・インターネット・グループのラウ・キンワイCEOは7月29日、CNBCに対してグローバル市場はビットコインETFをほんの「数ヶ月で受け入れる準備が整う」だろうとし、次のように語った。

我々はそんなに遠くないところまで来ていると思う。市場がETFを広く受け入れるまで、おそらくほんの数ヶ月のところだと思う