2月27日に仮想通貨ビットコイン(BTC)は3日続落で2月の上昇分を全て失った。一時8500ドル台まで下落したが、現在は8800ドルまで回復している。先週の1万ドル突破は成功せずに急落し、世界同時株安が続く中で9000ドルのサポートを一気に下抜けた。
(出典:Coin360 日本時間2月27日19時15分)
ただ、年初来でビットコインは未だに22%上昇している。
新型コロナウイルス発生で世界の株式市場がリスクオフの売りにあう中、ビットコインは資産の逃避先として機能せずに下落した。このためビットコイン本当に安全資産なのか議論になっている。
シンガポールの仮想通貨取引所ルノー(Luno)のビジネス開発部門長ヴィジェイ・アヤー氏は、「ビットコインの安全資産ステータスはまだ確立されていない」と分析。「コロナウイルスへの恐怖で全体的に弱気な空気になっておりビットコインはどっちにしろ調整の頃合いだった」と述べた。
一方、コインメトリックスは、「中央集権的な制度の失敗による本当のブラックスワン的なイベント」と「通常のマクロ経済的なサプライズ」を区別。新型コロナウイルスは「マクロ経済的なショック」と見なされた可能性が高いため、安全資産としてビットコインが上昇しなかったかもしれないと分析した。
アルトコイン季節 終了?
主要アルトコインも大幅に下落している。仮想通貨イーサ(ETH)は、分散型金融(DeFi)の盛り上がりもあり一時300ドルに迫る勢いを見せたが、現在は227ドルまで下がった。
今月中旬はDeFi用にロックアップされた資金が10億ドルを超えたものの、執筆時点では9億3200万ドルまで下がっている。
(出典:DeFi Pulse「DeFi用にロックアップされた資金(米ドル)」)
DeFiは、分散型ネットワークを使ったレンディングやデリバティブ、支払いサービスを指す。ロックアップ資金は、融資や金利の獲得、ステーブルコインの発行など様々な用途に使われる。
DeFi用のイーサが増えるとイーサ価格にとって上昇材料になるという見方がある。イーサステークのためにイーサが必要になれば、購入できるイーサが減少するため、イーサ/米ドルには上昇圧力となるからだ。
ビットコインの仮想通貨時価総額全体に占める割合(ドミナンス)は、わずかに上昇した。急落が始まった24日は62%台で推移していたが、執筆時点では64%を超えている。
またXRPは、先週は心理的な節目である0.3ドルを上回っていたが、現在は0.23ドル台まで下げている。仮想通貨XRPが有価証券性をめぐる米国の訴訟で、原告の主張を取り下げるというリップル社の要求が棄却されたことが重しになっている可能性がある。
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