ビットコインをはじめとする仮想通貨市場が、トランプ米大統領の対イラン強硬発言を受けて急落した。市場ではマクロ経済の不確実性が意識され、主要銘柄が軒並み下落した。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」において、「いわゆる『最高指導者』がどこに隠れているかは把握している。彼は狙いやすいが、今は手を出さない(殺しはしない)」と、イランのアリ・ハメネイ師に対する攻撃を示唆した。
続けて「民間人や米兵へのミサイル攻撃は望んでいない。こちらの忍耐も限界に近い。この問題について関心を持ってもらい感謝する」と述べ、イランに「無条件降伏」を求めた。
この発言は、イランとイスラエルの地政学的緊張が続く中で行われた。先週木曜のイスラエルによる空爆を受け、イランは複数のドローンとミサイルで報復している。
コインマーケットキャップのデータによれば、トランプ大統領の投稿から1時間以内にビットコイン(BTC)は10万4310ドルから10万3553ドルまで急落し、その後10万5450ドルまで回復した。
イーサリアム(ETH)は1.3%下落し2462ドルに、XRPも同じく1.3%下げて2.14ドルとなった。
市場心理も悪化した。仮想通貨市場全体のセンチメントを示す恐怖強欲指数は、16ポイント下落して100点満点中52となり、11日ぶりに「強欲」から「中立」へとなった。
仮想通貨市場における“トランプ・トリガー”
トランプ氏の発言が仮想通貨市場に影響を与えるのはこれが初めてではない。
2025年に大統領へ復帰して以降、彼の動向は市場に影響を与え続けている。たとえば2月2日に中国・カナダ・メキシコへの関税を導入する大統領令に署名すると、ビットコインは6日ぶりに10万ドルを割り込んだ。
しかし、そもそも2024年11月の大統領選勝利が仮想通貨市場の上昇を後押ししたとの見方もある。12月5日にはビットコインが初めて10万ドルを突破した。
ビットコインは10万ドルを維持できるのか
一部のアナリストは、今回の緊張の高まりによって、ビットコインが再び心理的節目である10万ドルを試す可能性があると指摘している。
仮想通貨アナリストのドクター・プロフィット氏は「今後数日でビットコインは10万ドルを割り込むだろう」と予測し、9万3000ドル付近までの下落を想定している。
「S&P500も7〜10%の下落が見込まれる。赤いローソク足が増える展開だ」と付け加えた。
一方、他のトレーダーは、ビットコインが10万ドル以上で安定的に推移している現状が、今後の力強い上昇の土台になると見ている。
仮想通貨トレーダーのジェレ氏は「何の構造もない急騰よりも、今の方がはるかに持続可能だ」と指摘した。
ビットフィネックスのアナリストは同日、「ビットコインは引き続き下落リスクにさらされており、反発のシナリオを維持するには10万2000ドル以上を保つ必要がある」と分析している。
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