世界有数の資産運用会社であるヴァンガードが、マイケル・セイラー氏率いるストラテジー(ティッカー:MSTR)の筆頭機関株主となった。同社はビットコイン(BTC)を主たる財務準備資産と位置づけたことで知られる。

投資情報プラットフォームIntelのデータによると、ヴァンガードはMSTR株を2,000万株以上保有しており、同社の発行済みクラスA普通株の約8%を占めている。この持ち株比率により、ヴァンガードはストラテジーのバランスシートに計上されている20万BTC超に間接的にエクスポージャーを持つことになる。この保有は、2025年1月から4月にかけて26.3%増加した。

ヴァンガードの多くのファンドには、米国株全体を対象とする「ヴァンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド」が含まれており、その中にマイクロストラテジー(ストラテジーの旧社名)も組み入れられている。また、同社の中型株インデックスに連動する複数のミューチュアルファンドやETFにもMSTRは含まれている。

ヴァンガードはこれまで、ビットコインおよび仮想通貨に対して一貫して懐疑的な立場をとってきた。ストラテジーの筆頭株主となった現在もその姿勢は変わっておらず、ライバル企業とは異なり、現物型ビットコインETFへのアクセスも提供していない。

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Vanguard Group owns over 20 million shares of MSTR. Source: Intel

IBITの成功にもかかわらず姿勢は変わらず

長年にわたり、ヴァンガードは伝統的金融機関の中でも特に強い仮想通貨懐疑派として知られてきた。ストラテジー株に大きく投資しているにもかかわらず、その方針は変わっていない。

5月のブルームバーグTVのインタビューでは、ヴァンガードCEOのサリム・ラムジ氏が、仮に顧客がビットコインをポートフォリオに加えたいと希望した場合でも、応じる考えがないことを明言した。同氏は「私たちは流行に飛びつくようなことはしない。長期的に信頼される存在であることが重要だ」と語っている。

ETF.comのインタビューでもラムジ氏は「ヴァンガードはビットコインのような投機的資産に賭ける事業ではない」とし、「そうした行動は、50年にわたり築いてきた私たちの投資哲学と一致しない」と強調した。

一方、資産運用大手ブラックロックは、現物型ビットコインETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」が急速に最大の収益源となっており、ブルームバーグのETFシニアアナリスト、エリック・バルチュナス氏によると、数か月以内に運用資産が1,000億ドルに達する可能性があるという。


「神はユーモアを解する」

ヴァンガードのビットコインへの予期せぬエクスポージャーは、パッシブ運用の持つ構造的な矛盾を浮き彫りにしている。

ブルームバーグのバルチュナス氏はこれについて、「インデックスファンドを運用する以上、好むと好まざるとにかかわらず、すべての銘柄を保有しなければならない」と指摘。その上で、「ビットコイン至上主義を掲げるストラテジーにこれだけ大きなエクスポージャーを持つという事実は、『神にもユーモアがある』ということだ」と述べた。

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