ビットコイン(BTC)の流動的な値動きを題材にしたデジタルアート作品『Right Place & Right Time』が10万ドル(約1040万円)を超える値で売却された。

このアート作品の制作者であるマット・ケイン氏は金曜、Cointelegraphの取材に対し、次のように答えた。「『Right Place & Right Time』のマスターNFTはTokenAngelsに10万1593ドルで販売された。しかし、あの作品に10万ドルの値がついたことは喜ばしいことだ」 。

NFT(ノンファンジブルトークン)とは非代替性トークンともいい、同様の価値を持つものが他にない、唯一無二のデジタル資産を表す。保有者に対してアートの所有権を与えるNFTはアート作品として注目を集め始めている。『Right Place & Right Time』はビットコインのロゴを独創的なデザインの画像で描いたNFTアート作品だ。しかし、その模様と全体像はビットコインの値動きにしたがって変化する。 

ケイン氏は自分がこのアート作品をいつから実際に制作し始めたのか、思い出せないと語った。ケイン氏は次のように述べた。

「私はこれを制作するのにどのくらい時間がかかったのかを忘れてしまった。私はアート作品に対しては常に、長いか短いかではなく、作品にとって必要な時間をかける。元となったデジタル画像を昨年の11月に制作したのち、1月にAsync Art上で画像をプログラムで制御できるアート作品に仕上げるための準備を開始した。Volatility.artへの再掲載を完璧なものにするため、数えきれないほどの微調整や準備を行った」

多数のアーティストがAsync Artを用いて自分の傑作をブロックチェーン上に記録している。一方、Volatility.artはビットコインの一日の値動きから形成されるビットコインアートを見ることのできる場だ。

『Right Place & Right Time』はユニークな作品だ。そのマスターNFTは10万ドルで売却された。しかし、この傑作はビットコインの値動きに影響を受け、その値動き後のパターンも出現する。それに基づき、マスターNFTは210通りの異なるNFTアート作品を生成することになる。 

ケイン氏は「どのNFTも元となるマスターNFTから作成されることになる」と説明した。また、「その生成物は、私が作成した、ある1日のビットコイン価格の変動性を視覚化するアルゴリズムを用いて作られる」と述べた。さらに「このプロジェクトは時とともに成熟していくため、 私は生成に影響するもの、色の変更、その他のデザイン要素をいくらかメンテナンスしていく」と述べ、「そしてもちろん、私がどの日が鋳造されるのかを監督する」と強調した。

ケイン氏は、210点の作品がそれぞれ購入されるとき、マスターNFTの所有者は各売上額の21%を受け取ることになると説明した。また、「これら210点の購入者に(も)そのNFTアートに対応するプリントを購入する選択権が与えられる」と付け加えた。 

この「210点」と「21%」という数字はビットコインの最大発行数、2100万コインに敬意を表したものだ。 

最近、仮想通貨・ブロックチェーン分野ではアートシーンの高まりが見られ、多種多様なアート関連の取り組みが業界全体で出現している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン