仮想通貨マイニング企業ビットフューリー傘下のブロックチェーン調査を手がけるクリスタル・ブロックチェーン・アナリティクスが19日に発表した報告書によると、2019年のダークウェブ上で転送されたビットコインの米ドル総額は2020年第一四半期に前期比と比べて65%増加したことがわかった。取引総額は3年間で340%の伸びを示すなどダークウェブ上でのビットコイン取引が増加している。

報告書を作成したチームによると、ダークウェブ上でのビットコインの「使いやすさと人気」に起因するものだという。

米ドル建で見ると、送金額は2019年第1四半期の2億4000万ドルから2020年第1四半期の3億8400万ドルに増加。受取額も増加傾向にある。ビットコインは2019年第1四半期には米ドル建で3,533ドルだったが、2020年第1四半期には平均で7,500ドルと約2倍に増加していたことが影響した。

一方で、米ドルあたりの取引総額は増加したものの、ビットコインあたりの送金額は減少している。

ダークネットの送受金額の推移

(出典:クリスタル・ブロックチェーン・アナリティクス)

ダークウェブサイトが受け取ったBTCは2019年第1四半期の64000BTCから2020年第1四半期に47000BTCに減少した。送金額についても同時期で64000BTCから5万BTCに減少した。

報告書ではビットコイン建が減少していることについて、アルトコインの利用が増加していることが要因だと指摘した。

ミキシングサービスが人気に

特に2020年第1四半期には本人確認が必要な取引所を対象とした送金額が減少。ミキシングサービスを利用した送金が増加した。

ダークウェブが本人確認が必要な取引所を経由したビットコインは2019年第1四半期の14073BTCから2020年第1四半期の5455BTCへと3分の1となった。

ビットコインは依然としてダークウェブで主流に

クリスタル・ブロックチェーン・アナリティクスは報告書で以下のように結論づけている。

「ダークネットエンティティ間で送信されるビットコインの量(実際のビットコインと米ドルの総額)が増え続けているということだ。この数値はビットコインがダークネット事業体の金融ツールであり続けていることを示している」

一方で、ダークウェブ上のユーザーやサイトはミキシングサービスを使ったとしても特定するのは容易であるという。それは金融活動作業部会(FATF)などによる規制ルールの徹底が効果を示してきているからだ。

「これらの不正行為に対抗するためにFATFやEUが制定した強力な規制の影響が現れてきている。これらの取り組みによって2020年は調査結果のパターンに大きな変化が見られることに期待している」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン