米国のドナルド・トランプ大統領が、対抗措置を取らない国に対する関税を一時停止すると発表したことを受け、ビットコイン(BTC)は急反発した。これにより強気の勢いが再燃し、10万ドル到達への期待が高まっている。
4月9日、BTC/USDは約9%上昇し、週初の下落分の大半を回復して83,000ドルを再テストした。これにより、2024年12月から日足チャート上で形成されていた「フォーリングウェッジ(下降ウェッジ)」パターンの有効性が高まりつつある。
下降ウェッジは、2本の下向きで収束するトレンドラインの間で価格が下落していく際に形成されるパターンである。
理想的な展開では、価格が上側のトレンドラインを明確に上抜け、その幅に相当する上昇が見込まれる。
BTC/USD daily price chart ft. falling wedge breakout setup. Source: TradingView
4月9日時点で、ビットコイン価格は下降ウェッジ内にとどまりつつ、上部トレンドライン(約83,000ドル)のブレイクを狙っている。このブレイクが確定すれば、6月までに10万ドル到達が主な上値目標となる可能性がある。
一方、83,000ドルで上昇を拒否されれば、ビットコインは再びウェッジの中に押し戻され、頂点付近の71,100ドルまで下落するリスクが高まる。
Source: Merlijn The Trader
仮に71,100ドル付近で反発してブレイクアウトが発生した場合でも、保守的な見積もりでBTCの上値目標は91,500ドル程度とされている。
オンチェーンデータは10万ドル到達の可能性を裏付け
今回のビットコイン反発は、65,000~71,000ドルの重要なオンチェーンサポート帯をテストする直前に起きており、強気シナリオを支える材料となっている。
このサポート帯は、アクティブ・リアライズド・プライス(71,000ドル)と、トゥルー・マーケット・ミーン(65,000ドル)という2つの主要指標に基づいている。
Bitcoin short-term onchain cost basis bands. Source: Glassnode
これらの指標は、現在市場に参加している投資家の平均取得価格を推定するもので、長期間動いていないコインや紛失した可能性のあるコインは除外されている。
Glassnodeのアナリストによれば、過去の傾向ではビットコインはこの価格帯の上下で半々の期間を費やしており、市場心理が強気か弱気かを判断する基準になるという。
「複数のオンチェーン価格モデルが示すように、65,000〜71,000ドルは強気派が長期的なサポートを確立するための重要な水準だ」と、最新の週次分析で述べ、さらに次のように続けている:
「このレンジを明確に下回って取引されるようになれば、大多数のアクティブ投資家が含み損を抱えることとなり、全体的な市場心理にネガティブな影響を及ぼす可能性がある」
最悪のシナリオは5万ドルへの下落
65,000〜71,000ドルのサポート帯を下回った場合、ビットコインが10万ドルを再び試す可能性は大きく後退する。その場合、50週指数移動平均(EMA、赤の波線)も下回ることとなり、下落圧力がさらに強まる可能性がある。
BTC/USD weekly price chart. Source: TradingView
4月9日時点で77,760ドル付近にある50週EMAは、強気相場ではダイナミックなサポート、弱気相場ではレジスタンスとして機能してきた。これを失えば、200週EMA(青の波線)付近の5万ドルまで後退するリスクが生じる。
過去にも、2021〜2022年および2019〜2020年の弱気局面では、50週EMA割れが大きな下落に繋がった。
一方、現在の反発が継続すれば、10万ドルの再テストに向けた道が再び開ける可能性もある。