著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

10日〜16日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比32,460円(1.15%)高の2,862,443円と、終値で280万円台を維持し小幅に3週続伸した。

先週のBTC相場は、中国国慶節の連休明けとなった10日のアジア時間にCSI300指数やハンセン中国企業株指数が強く押し、280万円台中盤から小甘く推移すると、米バイデン政権による対中半導体輸出規制の拡大を嫌気した米株安に連れ安となり280万円を割り込む展開で始まった。その後は、米長期金利の一時的低下により270万円台後半で下げ止まると、米株が上値を重くする中、GoogleがCoinbaseとの提携でクラウドサービスでのBTC決済を開始するとの報道や、BNYメロンがNY州で暗号資産(仮想通貨)カストディ業ライセンスを取得したことで底堅く推移した。

週央には、外国為替市場でドル高円安が加速したことでBTC対円相場はジリ高となると、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、経済への影響を懸念して利上げペースの調整を求める声が数名の参加者から上がったことが明らかとなり、小確りと推移し282万円を回復した。

一方、9月の米消費者物価指数(CPI)の発表が迫ると警戒ムードが広がりBTC相場は上値を重くし再び280万円を割ると、CPIの結果が市場予想を上回り、一時的に270万円を割り込んだ。しかし、9月はCPI上振れが一部で予想されていたことや、インフレ頭打ちが意識され米株が急反転を演じたことで、BTCも連れ高で下げ幅を奪回すると、翌14日東京時間には290万円を回復した。この日の米時間には、米ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が前月から改善したことと、消費者インフレ見通しが上昇したことで相場は上げ幅を縮小したが、節目の19,000ドル水準(≒282万円)で下げ止まり、週末も底堅く推移した。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成

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