著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
3月第3週のビットコイン(BTC)対円相場は6.5万円高(+ 11.26%)と反発。一時は前週安値(46.5万円)から30万円ほど戻し76万円台に乗せる場面もあったが、買いは続かず週足終値は64.8万円に着地した。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利緊急利下げや、世界の国や地域で加速する渡航・移動制限に伝統的金融市場が動揺する中、先週週央までのBTC相場は50万円台で比較的落ち着いた値動きに終始し、安値拾いの買いに支えられた。18日夜には、今年2月にトロン財団に買収されたSNSプラットフォームSTEEMの一部コミュニティーが、プラットフォームの中央集権化を懸念しハードフォークによる分裂を表明。海外取引所のBinanceやHuobiがこれを支持すると発表したこともあり、STEEMに需要が殺到した他、ステータス(STN)やミスリル(MITH)といったSNS系プラットフォームのトークンにも物色買いが入ると、買いが徐々に波及していき、BTCは20日未明に対ドルで節目の6000ドル(≒66万円)を上抜け、ショートカバーを巻き込む形で7000ドル(≒77万円)にタッチした。一方、20日にはSTEEMのハードフォークが完了し、STEEM相場の上昇は失速。BTC相場もマイニングが引き続き厳しい状況下で7000ドルでの戻り売りに跳ね返され、週末には6000ドルを巡る攻防となった。その他アルトコイン相場も週末には上値を重くし、STEEM主導の上昇は短命に終わった格好だ。