仮想通貨取引所大手バイナンスがタイに進出だ。
バイナンスタイランドは16日、すべての適格ユーザーに対し取引所を開放しタイバーツ取引ペア用の取引板を実装したと発表した。また同国内ユーザーは現地銀行口座を通して現金の入出金も行えるとしている。
バイナンスの広報担当者はコインテレグラフに対し、現時点で現物取引以外の追加サービスはないとしているが「バイナンスタイランドの長期的な計画は野心的であり、他のサービスに関する規制当局の承認を得るために緊密に協力している」。
これに先立ってバイナンスはタイ証券取引委員会(SEC)から運営開始の承認を受けていた。またタイ財務省からデジタル資産取引所およびブローカー事業者のライセンスを取得している。
今回バイナンスはタイのエネルギー大手ガルフエナジーの子会社ガルフ・イノバと合弁企業を設立。子会社であるバイナンス・キャピタルマネジメントが出資する「ガルフ・バイナンス」を通してタイランド事業に取り組む。
一方でタイランドには手強い既存プレーヤーが存在する。タイの暗号資産取引所ビジネスの77%を牛耳る「ビットカブ」だ。
ビットカブの日次取引高は約3000万ドル(約45億円)で、タイバーツとテザー(USDT)のペアが最も取引されている。その他タイにはアップビットやビタッザ、ジップメックスがある。ただしジップメックスは11月に規制圧力を受けて取引を一時停止している。
バイナンスのリチャード・テンCEOは「タイ経済のデジタル化と成長に貢献し、新たな機会を創出するコミュニティの一員となることを目指している」と語る。
ちなみにバイナンスタイランドはタイに居住する外国人は利用できない。顧客確認手続きのためにタイ国民のデジタルIDが必要だからだ。
タイでは仮想通貨取引は依然として人気があるが、軍事政権支持の政府によって2022年3月にデジタル資産を支払いや決済に使用することが禁止された。
また新政府は2024年1月から株式や仮想通貨トレーダーの海外収入に対する課税計画を発表している。
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