バイナンスは19日、イーサリアム(ETH)とすべてのERC-20資産の出金に問題が生じた。ユーザーはイーサリアムベースの資産に約1時間アクセスできなかった。バイナンスのツイッターアカウントが「混雑の問題に対処するためにETHおよびイーサリアムベースのトークンの出金を一時的に停止した」とユーザーに報告し、突然発生した。

バイナンスは「資金はSAFUである」と報告したが、それ以上の詳細は提供しなかった。約1時間後、出金は回復したが、取引所側は重要なインフラが一時停止した理由について説明しようとしなかった。

「混雑問題」というやや漠然とした理由は、イーサリアムの高騰したガス料金が一時停止と関係があることを示しているようだ。コミュニティはそのような説明に懐疑的であり、Harvest FinanceのコミュニティモデレーターのRedは、バイナンスのスマートチェーンの台頭が関係しているのではないかと考えている。

「ETHの混雑は過去数週間よりも悪くはない。バイナンスはイーサリアムからBSCチェーンへのマインドシェアに取り組んでいるため、このタイミングは疑わしいとみなされる可能性がある」

確かに、データをみると、19日のブロックチェーンの混雑が例外的ではなかったことを示している。アレックス・クルーガー氏が示したDune Analyticsのデータは、ガス料金の水準が過去2日間で変わらないことを示している。

Average Ethereum gas prices by hour in Gwei. Source: DuneAnalytics.

Etherscanのデータによると、平均ガス料金は2月はじめよりも低くなっているため、バイナンスの説明は混乱を招くものだ。いずれにせよ、混雑自体は取引所にとって大きな問題ではないはずだ。

これらの状況は、バイナンスの真の動機に対する疑惑を呼び起こしている。仮想通貨アナリストのHasuは、それが「イーサリアムに対する宣戦布告」ではないかといぶかしんでいる。出金再開に伴い、短いコメントが投稿されたが、コミュニティ全体では正確に何が起こったのかについては混乱したままだ。

技術的な誤作動がその理由かもしれない。

FTXのサム・バンクマン-フリードCEOは、バイナンスとFTXのサービスをホストしているアマゾンウェブサービス(AWS)がダウンしており、プラットフォームに問題が発生していると指摘している

バイナンスのスポークスマンは、コインテレグラフに対して「ありふれた問題」であると述べたものの、それ以上の詳細は提供していない。

不思議なことに、バイナンスコイン(BNB)の価格は、一時停止が発表された直後に260ドルから350ドルに急騰した。ETHはその間、1930ドルから1916ドルに緩やかに下落した。

多くの人がBNBの上昇ラリーはバイナンススマートチェーンの利用増加に起因していると考えている。バイナンススマートチェーンのトランザクションは、イーサリアムの2倍になっている。イーサリアムとバイナンスチェーンとの間で競争があるのかどうか、明確なコミュニケーションの欠如は憶測を生み出す。

ノードインフラプロバイダーのPocketNetworkの運用リーダーであるパトリック・マグワイア氏は、このイベントの重要性について次のようにコメントしている。

「単なる定期的なメンテナンスであったのか、意図的にタイミングをあわせたものであるかに関わらず、誰かがまったく警告なしにトークンを使用できるタイミングを取引所が決定できるという事実は、分散化の精神に反するものだ」