8月にサービスを開始したバイナンスジャパンは、早期に100銘柄の取扱いを目指す方針だ。現在の取扱い銘柄数は34通貨だが、取扱い銘柄数で先行する国内競合他社との差別化を図る狙いだ。

バイナンスジャパンは30日 メディア向けの事業説明会を開催した。同社の千野剛司CEOが日本における事業戦略を語った。

バイナンスジャパンは昨年11月、日本でライセンスを持っていた暗号資産交換業者サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)を買収する形で日本市場に参入。今年8月から国内ユーザーに向けてサービスを開始した。

「早期に取扱銘柄を100に」

バイナンスジャパンは現在、暗号資産取引と貸暗号資産を提供している。暗号資産取引については、現在は販売所サービスで34銘柄、板取引サービスで32銘柄を取扱っている。

国内の競合他社との差別化を図る点でも、100銘柄を早期に目指すと千野氏は打ち出した。

どういった銘柄を取扱うのかについて、「1つはバイナンスがグローバルに取り扱っている銘柄であり、これを日本でも提供する。バイナンスが取り扱う350銘柄の中から有望なプロジェクトを選別していく」と千野氏は説明する。

もう1つは日本国内の有望なプロジェクトを発掘し、バイナンスジャパンに上場させるというものだ。「バイナンスジャパンが1号案件になるものを発掘していきたい」と千野氏は言い、将来的にバイナンスジャパンからグローバルの方でも上場させるというルートもあり得ると話す。

暗号資産交換業者で銘柄を新たに取り扱う際には、自主規制団体である暗号資産取引業協会(JVCEA)の審査が必要だ。千野氏は国内の同業他社と健全な競争をしつつ、新規の銘柄を申請する際には他社との連携も行いたと話す。

デリバティブ取引も提供へ

今後のサービス拡大について、「バイナンスのグローバルで提供しているものは、日本の法令に従った上ですべて提供できるようにしたい」と千野氏は語った。デリバティブ取引はまだ提供していないが、金融商品取引法で必要なライセンスを取得した上で、早期に提供したいとしている。

3つ目の柱としては、ステーブルコインを使ったビジネス展開も考えている。今年6月の資金決済法の改正で、国内でのステーブルコイン(電子決済手段)の規制が整備された。

バイナンスジャパンとしてはステーブルコインの仲介者としてサービスを提供していく方針だ。ステーブルコインを使た暗号資産取引の提供のほか、一般的な決済・ペイメントサービスとの接続も積極的に展開したいという。

千野氏は、バイナンスは取引所サービスだけに留まらず、ブロックチェーンを中心としたエコシステムとして捉えていると強調する。

「取引所ビジネスは重要な一部ではあるが、ブロックチェーン上のプロジェクトやエコシステムを拡大させることを目指している」と話す。ほかのエコシステムにあるプロジェクトやトークンの上場のほか、既存のペイメント会社との連携、Web3面での教育機関や地方自治体との連携なども視野に入れていくという。