バイナンスのロシア部門を買収した企業CommExに対して様々な憶測が浮上する中、CommExは引き続きバイナンスの関与を否定している。

9月29日、CommExはコミュニティにレターを公開し、同社がバイナンスによって所有されていないことを再度強調した。バイナンスは27日にロシアからの撤退を発表し、CommExにロシア事業を売却した。

「当社の実質的支配者(UBO)は公開していないが、当社がバイナンスに所有されていないことを明確にしたい」とCommExはウェブサイト上で記述している。CommExの広報担当者は、同社のオーナーに関する情報を公開しない理由についてはコインテレグラフに対してコメントを控えた。

「私たちは、多様なバックグラウンドを持つ情熱的な個々人から成る活力と効率性を兼ね備えたスタートアップチームだ」とCommExは発表文で述べ、一部のコアメンバーがバイナンス出身者であると付け加えた。

CommExの発表によれば、同社は6ヶ月間プラットフォームの開発を行い、その間にバイナンスの元従業員を一部採用した。「これにより、バイナンスの製品や運営の経験から学び、間接的に彼らとの関係を確立することができた」とCommExは付け加えている。

この発表は、バイナンスがCommExの所有者ではないにしても、バイナンスのロシア部門の元チームメンバーがCommExの一部であることを認めている。

バイナンスのロシア部門の元従業員は新たな企業に参加するか、すでに参加している可能性があると、バイナンスのジャオ・チャンポンCEOは9月28日にX(旧ツイッター)でも言及しており、「それは良いことだと思う」と彼は付け加えた。

ジャオ氏によれば、CommExはバイナンスの元従業員を雇用するだけでなく、デザイン、API、利用規約などもバイナンスから引き継いでいる。「これはスムーズなユーザー体験を確保するために求めた」とジャオ氏は記述した。

またバイナンスのCEOは、CommExが米国やヨーロッパに拠点を置くユーザーに対してサービスを提供していないことを強調した。ジャオ氏によれば、米国やヨーロッパの居住者は、CommExにアクセスしようとするとIPと本人確認(KYC)のブロックに直面する。「これは私たちが取引で求めた条件だ」とジャオ氏は語った。

CommExの公式テレグラムグループからのデータによれば、CommExのユーザーは、ビットコイン(BTC)で2BTCまでなら、KYCチェックを完了せずに取引を行うことができる。

CommExがオーナーに関する情報を開示しない姿勢と、元バイナンスの従業員を持ち、ウェブサイトのデザインやAPIが類似していることから、バイナンスこそが真のオーナーであるとの噂が広がっている。

ベンチャーキャピタル企業シンニャマイン・ベンチャーズのパートナーであるアダム・コクラン氏は、CommExが「バイナンスの別のシェルカンパニーに過ぎない」と考えている。

一方で、一部の仮想通貨ウォッチャーは、このような動きはバイナンスがロシアを離れるという決定を損なうことになると考えている。「新たな所有者が単にバイナンスの代理人であると、米国当局はすぐに判断できるだろう。これはバイナンスが事業を保持している場合よりも状況をさらに悪化させるだろう」と、レスペランス&アソシエイツの創設者であるデイビッド・レスペランス氏はコインテレグラフに語った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン