仮想通貨取引所バイナンスは、先週金曜の暴落で損失を被ったトレーダーを支援するため、総額4億ドル規模の救済プログラムを立ち上げると発表した。もっとも同社は、「ユーザーの損失に対する法的責任は負わない」としている。
最大6000ドル相当のトークンバウチャー配布
バイナンスが火曜に発表した内容によると、この新プログラムでは総額3億ドル相当のトークンバウチャーが対象ユーザーに配布される。金額は4ドルから最大6000ドルまで幅があり、損失額に応じて決定されるという。
対象となるのは、2025年10月10日00:00(UTC)から10月11日23:59(UTC)の間に、先物または証拠金取引で強制清算を受けたユーザー。また、少なくとも50ドル以上の損失を被り、その損失が10月9日23:59(UTC)時点の総純資産の30%以上を占めていることが条件とされている。配布は96時間以内に完了する予定だ。
さらに、バイナンスは機関投資家やエコシステム関係者向けに1億ドル規模の低利融資ファンドも設立し、市場の流動性不足を緩和する狙いがあるとしている。
同社は声明で「バイナンスはユーザーの損失に対して法的責任を負わない。しかし、この取り組みは業界全体の信頼回復を目的としている」 と説明した。
今回の発表に先立ち、BNBチェーンは月曜に、ミームコイン取引で損失を出したユーザーを救済するため、4500万ドル規模の「リロード・エアドロップ」を実施すると発表していた。
トランプショックによる史上最大の清算
今回の市場急落は、トランプ米大統領が中国製品に100%の関税を課すと発表した直後に発生した。これにより、24時間で190億ドル超のレバレッジポジションが清算され、仮想通貨史上最大の清算イベントとなった。
暴落後、バイナンスは複数の面で批判を浴びている。
一部のトレーダーは、売り崩し中にポジションを閉じられない技術的トラブルを訴え、他のユーザーはステーブルコインの価格乖離を指摘した。
また、エンジン(ENJ)、コスモス(ATOM)、IoTeX(IOTX)など複数のアルトコインが、オラクルデータの不具合により一時的に「価格0ドル」と表示される異常も発生した。
バイナンスは日曜に声明を出し、「中核となる先物システムは売り圧力の中でも通常通り稼働していた」 と説明した。
金曜の暴落以降、バイナンスとBNBチェーンは合計7億2800万ドル規模の回復策を発表している。内訳は、4500万ドルのエアドロップ、2億8300万ドルの即時補償、そして今回の4億ドル救済ファンドだ。
ユーザーからの反応は分かれる
しかし、ユーザーからの反応は割れている。
仮想通貨ファンドのシードリ・キャピタルのアカウントは、「信頼を取り戻そうとするバイナンスの姿勢は評価できる」 と称賛した一方、別のユーザーCurb.solは、「バイナンスの内部オラクルの誤った価格設定こそが、4000億ドル規模の清算と市場崩壊の直接的な原因だ」と批判。「資金は今すぐバイナンスから引き上げるべきだ」と付け加えた。
さらに別のユーザーのLeveragedDegenは「4ドルから6000ドルのバウチャーなんて、すべてを失ったトレーダーにとっては冗談みたいなもの。ないよりマシだが、到底十分とは言えない」と投稿した。
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