18年末から業務を停止しているロシアの仮想通貨取引所WEX。そこから行方がわからなくなっている4億5000万ドル分の仮想通貨が、ロシアの諜報機関である連邦保安庁(FSB)の資金になっている可能性が浮上している。BBCロシアが15日にレポートした

FSBはロシアの情報機関。ソ連時代のKGBがその前身だ。

WEXは18年末から業務が停止している。WEXは、すでに消滅した取引所BTC-eを継承する形で17年9月に取引を開始した。BTC-eは巨額のマネーロンダリングに関与しているといわれ、そこには日本の仮想通貨取引所マウントゴックス(Mt.Gox)から流出したビットコインも含まれているとみられている

BTC-eの共同創業者アレクサンダー・ヴィニック氏は現在ギリシャで拘束されており、米国、フランス、ロシアが引き渡し要求している

FSB関係者からの仮想通貨要求

BBCが独自に入手した音声記録の中で、WEXやFSBの関係者の会話が記録されていた。「アントン」と名乗る人物(FSBの元職員であるアントン・ネムキン氏とみられる)と、BTC-eの共同創業者のアレクセイ・ビリュチェンコ氏、WEXに関係していた実業家コンスタンチン・マロフェエフ氏の3人だ。

2018年の会合で、ビリュチェンコ氏はWEXの仮想通貨を引き渡すように、アントンから要求された。ビリュチェンコ氏は、その後モスクワにあるFSBに連行された。

その会合の翌日、再び「アントン」は、ビリュチェンコ氏にWEXのウォレットに保存されている仮想通貨を引き渡すように要求された。アントンは「FSBの資金にする」と発言したという。

ビリュチェンコ氏は最終的に、WEXの仮想通貨を提供することに同意。BBCによれば、3万BTCと70万LTC(ライトコイン)がWEXのウォレットから移転された。

WEXやBTC-eの関係者は欧州で拘束中

今年7月、WEXの元CEOだったディミトリ・ヴァシリエフ氏がイタリアで逮捕された。ヴァシリエフ氏はロシア当局からも詐欺容疑で捜査対象となっていた。

またBTC-eのヴィニック氏は現在もギリシャで拘束中だ。米国、ロシア、フランスが引き渡しを要求しているが、現在のところギリシャ当局がそれらの国にヴィニック氏を引き渡したという情報は出ていない。

編集・翻訳 コインテレグラフジャパン