香港の仮想通貨ビジネスは今、不透明な状況におかれている。銀行が仮想通貨取引所に対して非協力的になってきたのだ。

 中国本土で仮想通貨の取引やICOが禁止されて間もなく、香港も仮想通貨ビジネスに対して敵対的な環境をつくっているようだ。

 香港でも比較的歴史の長い仮想通貨取引所であるゲートコインは、メインバンクの恒生銀行から口座を凍結されてしまった。予備で使っていた富邦銀行からも取引制限がかかった。

 同社マーケティング部長のトマス・グラックマン氏によると、ゲートコインはこれまでにも口座凍結を経験したことはあるが、今回は寝耳に水だったという。

 「口座凍結のタイミングは最悪。この2~3カ月でビットコイン価格は上昇を続け、顧客は3倍になり、顧客からの入金も増えているからだ。」

 現在同社は営業を継続するため、仕方なく海外の銀行に頼っているという。

 仮想通貨送金事業を手掛けるBitspark社ジョージ・ハラップCEOは、「ビットコイン業者にとって金融サービスというのは大変希少価値の高いコモディティーになっている」。香港に本拠をおく同社も、海外の銀行を探さなくてはならなかったという。

 仮想通貨ビジネスの展開に、従来の銀行サービスがカギになっているというのは皮肉かもしれない。

 銀行が仮想通貨業者の口座を凍結したケースはこれまでにも多々ある。

 仮想通貨取引所のビットフィネックスは今春、米大手銀行のウェルズ・ファーゴに台湾の銀行への送金を停止されて訴訟を起こしている。(原告はiFinex, Incとその子会社、及びTether社)