Bitcoin Babeとしても知られるMichaela Juric氏は、オーストラリアで活動するビットコイントレーダーの一人なのですが、彼女の銀行口座の一つが、約1万米国ドル分のビットコインを売却したところ、不正行為をしたとして銀行によって突然凍結されてしまいました。これを受けて、彼女は、ACCC、オーストラリア競争・消費者委員会に、ビットコインに関するこういった銀行の措置に対して訴えを求めて、嘆願書を提出しました。

こういったビットコイントレーダーやマイニングに携わる一部のユーザーを狙った事例は世界中を見ても今回の彼女の件のみですが、政府や銀行がビットコインを国外へと追いやろうとしているようで、状況は日に日に悪くなっているように思えます。

 

しかし諦めてはいけません、マハトマ・ガンジーはかつてこう言いました―

 

「まず、彼らはあなたを無視し、次に嘲笑い、それからあなたに戦いを挑んできます。その時、あなたは勝つのです」

 

まぁ実際はこの名言がガンジーによるものだという証拠はなく、誰かが勝手に作ったものだとも言われているのですが、詩としては良いものなので、良しとしておきましょう。とにかく、この文にはビットコインの歴史にも素晴らしく当てはまる部分があると思うのです。

 

まず、ほとんど誰もビットコインについて気にもしていなかった、2009年から2010年にかけては、ビットコインにとって最初の”胎児期”とも呼べる時期でした。

まず、彼らはあなたを無視する

それから、2011年から2012年にかけてビットコインの名声は広がり始めたのですが、無視されました―銀行家、金融専門家、一般の方々については言及しません、彼らは全く気にもしていませんでしたから。誰かがビットコインについて語ったのなら、「一体それで何が出来ると言うんだ?」「通貨はもう既にあるんだから、そんなものはいらない」などと邪険に扱われたことでしょう。ビットコインは単純に価値のあるものだと多くの人に認めさせるにはあまりにも不十分でした。

ビットコインは、全く偏見がなかったり、新しいものに惹かれるようなタイプのごく限れた人向けのものでした。オタクやアナーキストなどが最初に興味を持ち始めました。

多くの人が、オタクのためのムーブメントだ、とか、ポンジ・スキームだとか、すぐに消えてしまうような実験的なものだ、などと口々に言いました。ビットコインがどのようなものなのか理解している人はごくわずかしかいなかったのです。

 

次に彼らはあなたを嘲笑う

しかし2013年から2014年にかけて、ビットコインという言葉はインターネット上に散見され始め、一般メディアでもその名を見かけるようになりました。

つまり笑いものにされ始めたのです―当時とは比べ物にならないたくさんの人が現在はビットコインについて知っていますが、当時はとにかく奇異なものとして見られ、何ら価値の無いものだとみなされていたのです。

あのオタク共を見てみろ、あんなポンジ・スキームに金突っ込んでドブに捨ててるぞ!でもビットコインってなんなんだ?とか、

こんなもんにベンチャーキャピタリストたちは3億ドル以上も投資して、金の無駄使いしてるらしいぞ!(笑)

と言った調子でそれはもう酷い言われようでした、ええ。

 

それから彼らは戦いを挑んでくる

しかし2015年になって状況が一変しました。僅かな愚鈍な懐疑論者たちは別にして、ビットコインはその道化師としてのコスチュームを完全に脱ぎ去り、そして今年、ついに嘲りのフェーズから、戦いへのフェーズへと移行したのです。10億ドル近くがビットコインのためのインフラ整備、ソフトウェアやサービスなどに投じられ、金融界はついにビットコインがオタクの気まぐれやポンジ・スキームなどではないことを理解したのです。彼らは今ではビットコインによって目に見えない形で”彼らのお金が盗まれている”という具体的な現実をよく理解しています。

そしてそれは簡単に止めることができそうにないということも。銀行もまたブロックチェーン技術が有用なテクノロジーだと気づき、ビットコイン対策として利用できないかと開発に勤しんでいるわけです。

しかし、最も恐れをなしているのは中央銀行です。資本主義における支配者たる彼らにとって、ビットコインは終わりの魔法をもたらすかもしれないあばれ馬でした。

そんな脅威を十分承知してか、一流銀行は、機会さえあればビットコインに対抗すると宣言していますし、未だに笑いものにしていますが、これは状況が以前とは違います。

そしてもちろん政府も、銀行による暗号通貨の取引を禁止したり、全てのケータイ電話での暗号通貨の取引を禁止するような不条理な法案を通そうとしたりと、テロリストによる攻撃を阻止するためだ、などと口実を作り、ビットコインの流れを食い止めようと必死です。

 

その時、あなたは勝つのです

そうでなければ―――あなたは、どうですか?

戦いは始まっています。これは戦争です。そしてそれはどれだけ続くかもわからない戦争です。一つだけ確かなのは、ビットコインだけではこの戦争に勝つことはできないということです―その力と、ビットコインを利用するユーザーが必要になってきます。アーリーアダプターたちは戦わねばなりません、進むべき方向をクリアにし、戦うのだとすれば、それは今です。フェーズ3はまさに始まったばかりですし、この戦争はおそらくビットコインが広く利用され、その抵抗力が”不滅のもの”であると認知されるまで何年も続くでしょう。

 

戦いは既に始まっている

業界からビットコインを排除しようとする上記のような方法とは別に、まだ他にもさらに”詳細な”、ストレートにビットコインと対抗する方法があります。一部の銀行はその合法性の限界を引き延ばしているようです。

オーストラリアを拠点に活動するビットコイントレーダーでBitcoin Babeとしても知られるMichaela Juric氏は、最近違法ではないかと思えるようなエピソードに遭遇しました―1万米国ドル分のビットコインを別のクライアントに売却したことを受け、銀行側が詐欺だと主張し、彼女の口座を突然凍結させたのです。彼女は現在クライアントの誠実さに頼り、返金を申し立てていますが、銀行は合法的であるはずのその取引には全く応じようとしていません。

「私は銀行に対して、”いえ、KYC(Know Your Customerの略で、銀行で手続きするさいの必要書類の総称の意)/AML(アンチマネーロンダリングの意味)チェックをしたのは私ではありませんと伝えました(具体的には、顧客がIDと共に自撮りし、その写真をコンピュータースクリーンと共に表示して、確かにビットコインを買ったのだと明らかにさせられるということです)”

銀行は私の申し出を拒否しました。適切な調査なしに購入者に私の資金を返金し、突然私のアカウントを凍結したのです。そのせいで、およそ1万ドルの保留中だった私の口座への送金が、もう既にビットコイン代を支払っているにも関わらず買い手の口座へと強制的に返金されてしまったのです」

 

さぁ、集団訴訟の時だ

Michaela氏は、こういったビットコインを流通から排斥しようとする強調した一連の動きの中でも最新の出来事だと言います。ビットコインは違法ではないのにも関わらず、彼女はビットコイン売買に関わっただけで詐欺呼ばわりされてしまったのです。

その後、彼女はACCC、オーストラリア競争・消費者委員会に訴えを申し出、ビットコイン取引に関わるこういった銀行の行動に対して調査するよう依頼しました。彼女曰く、ビットコインを売ったからといって詐欺扱いまでして、口座を凍結する権限は銀行には一切ないとのことです。何故ならビットコインはオーストラリアでは合法だからです―

 

「ビットコインは、オーストラリア税務局によって課税対象項目として認められていますし、他の商品と同じようにGSTの対象です。ビットコインビジネスについては、KYCとALTのチェックが必須ですし、銀行も法に従ってそうあるべきです。こういった流れがありますから、誰にとっても安全なものであるべきにもかかわらず、銀行はいまだにビットコインでの取引を拒否し、わざわざ顧客のビットコイン購入のためのアクセスを遮断するケースまであるのです!」

 

そして世界中で

もちろん、オーストラリアだけがこういった理由などを元に、銀行がビットコインと対立しはじめている国なわけではありません。とあるアメリカ出身で匿名での取引を希望していたビットコインATMのマネージャーは、過去、銀行がキャッシュでの取引をしたくないとして、14もの口座が凍結された経験があるのだといいます。銀行を”クリーン”にしておくためのメカニズムがおそらくあり、それによって、出処不明の現金を持ち込もうとすると銀行口座を強制的に凍結することが合法である、とされているのかもしれません―

 

「銀行口座を開設されたままでは、コンプライアンス・オフィサーには報酬は支払われません。もし口座内の資金に問題があると判明した場合、その人はトラブルに巻き込まれてしまいます。しかし口座を凍結してしまえば、そういった個人的なリスクを減らすことができ、報酬がきちんと支払われるのです。ハイリスクであるとして口座を凍結させればさせるほど、評価されます。単純に問題に巻き込まれる可能性のある口座であれば凍結させなければいけませんし、間違った判断をするわけにはいかないのです。銀行自体もそういったことを問うことはできません。もし彼らが間違っていた場合、彼らも文字通り刑務所行きになってしまうからです」

 

銀行がビットコインを嫌っているから、というわけではなく、ビットコインの利用を止めようとしているわけでもない、ということのようです。銀行はリスクを負いたくないし、キャッシュビジネスはリスクのあるものだから、ということであれば、では何故彼らはキャッシュビジネスをしているのでしょう?コンプライアンス・オフィサーはリスクを取ってしまうと報酬が得られないし、ハイリスクである案件を特定し、それを軽減することで報酬が得られる、と。

 

つまりこういうことでしょうか―私には大きな銀行と素晴らしい関係を築いていて、支店長、地域マネージャー、みんなが私たちのことが大好き。しかしコンプライアンス・オフィサーは、ダメだダメ、キャッシュが多すぎる。そういって口座を凍結させてしまう。そしてそんなコンプライアンス・オフィサーは銀行からリスクをヘッジすることに成功したヒーローとして見られている、と。

 

そしてもちろん、ビットコインによって得た現金というものは出所不明のものです。

もしあなたが現金で車を買って、買い手がそのお金を銀行に持って行ったらどうなるでしょう?銀行にとって全く問題はないわけですよね?しかし売り手にとっては全くそのお金の出処はわからないわけです。

 

これはまだ序章に過ぎません―銀行はシステムからビットコインを追い出すためにネジをきつく締め、どんな合法的な方法を使ってでも法定通貨のやり取りを削減しようとしています(そして多分それはそんなに合法的な手段ではないと思われます)

2016年は、また新たな半減期を控えていて、ビットコインの価値も上昇するでしょうから、銀行はきっとさらなる抵抗を見せるはずです。

既に過去2年の間に危機的な事件が何度かありました、しかし、まだ最も大きな困難はやってきていません。どんなに激しい戦いが待ち受けていようとも、企業や機関が積み上げてきたその大きな壁を打ち破るその時まで、ビットコインコミュニティ内の人々は今しばし、辛抱強く持ちこたえるしかないようです。